第17話 テクノロジーは連結と共に
フェーネは自分の首に魔法をかけた。細い首輪がフェーネの首周りに出現した。紫色の紋章は電光掲示板の様に行ったり来たり首輪を移動している。
「それは?」
「『
「『
「感覚を強制的に繋げる魔法」
「はぁ〜」
フェーネは私の手首に触れる。
「この魔法は一人では使えない。必ず二人必要になる魔法なんだ」
私の左手首にフェーネの首についている首輪と同じモノが付いている。
「これで私とユミナは感覚や感情も連結された」
「............うん!?!?!?!」
待って、今なんて言った?
「『感覚や感情も連結』ってまさか」
「実践ね、アリエスさん。私の頭を叩いてくれるかしら」
首を傾げるアリエス。
「よくわかりませんが......わかりました」
さすがに全力はダメだろうっと軽いゲンコツをフェーネにくらわせた。
「痛ったぁあああ♡!!!」
頭を抑えるフェーネ。
次の瞬間——————
「痛ったぁあああ!?!?!?」
驚きと痛みが同時に私の体に降りかかる。
フェーネと同じように頭を抑えてしまう。
もしかして、これがフェーネの言っていた『感覚の連結』???
「ふざけないでよ、何、変なモノを発動したのよ」
慌て始めるフェーネ。おそらく近くにいるアリエスの表情を目撃したのだろう。
きっと鬼の形相の様に見えているはず。
「こ、これにはちゃんと訳があるんだ」
「一応、弁解を聞こうじゃん」
「ユミナも味わった様に、共有されている二人は感覚も共有される。片方を叩けば、もう一方にも同じように叩かれた痛みを貰う。結果、どうなるか」
アリエスは何かに気づいた。
「命も共有される」
「どういうこと?」
「例えば、ユミナ様がモンスターに倒されたとしまう。ユミナ様が死亡すれば、感覚を共有しているフェーネも死亡する、っとうことです。つまり、現状アタシ達はあったばかりの他人同士。目的までは一緒に同行するが裏切られる可能性も少なからず存在する。裏切りを回避するための対策がフェーネの『
「保険ってことか」
「逆に私を二人が裏切れば、速攻でユミナの首を刎ねる」
自分の首を手でガードする。
「......物騒なこと言わないでよ」
フェーネの対策も理にかなっているか。こんな孤島で遭遇した者同士。何があるかわからない。共通の目的でもある島からの脱出。完遂するまでは裏切らないし裏切れない。
「騙そうって考えても、感情まで共有しているから筒抜け」
私のプライバシーってどこにあるのかな。永遠の別れってことはないよね......帰ってきて、私の感情さん〜
「安心して、『
「『解除時期』?」
「私達が無事にこの絶海の孤島から脱出し、『スラカイト』の大陸に足をつける、って条件に組み込んだ」
私の腕輪もフェーネも首輪も、解除されるのは『スラカイト』に到着したらっか......
「わかった、フェーネと同行しよう!!」
私の指をフィーネの小さい手が握る。体格差があるけど、握手みたいなモノとなっている。
「短い間だけど、よろしくね。ユミナ、アリエス」
「こちらこそ、よろしくお願いします。フェーネ」
「ユミナ、先に謝っておく。ごめんね♡」
「えっ、何が??」
「実はね♡」
うん? なんか体の奥から湧いてくる。体内を駆け巡る熱き感情。呼吸が次第に荒くなる。
「ユミナ様......お顔が赤いです」
私を見るアリエスの表情はうっとりとしていた。
「なんで、頬を染めるの」
「それがですね......今のユミナ様の表情を見てから、アタシの胸の鼓動が絶えず激しく踊っているんです。ドキドキが止まりません」
アリエスは一体、何を言ってるんだ。それよりも、燃える体をどうにかしないと......
「えっとな......ユミナよ。実は私は」
私の顔に近づく小さい妖精。申し訳ない表情を見せたと思いければ、次第に顔の筋肉が解け始める。
興奮と歓喜が入り混じった愉快な顔へと変貌を遂げた。
「実は私......叩かれると痛みが快感に変わる妖精なんだ♡♡♡」
思考が追いつかず、混乱する。混濁する意識の中で一つだけわかったことがある。
それは......
痛みが甘美ではないっだ。
「ふざけるなぁぁぁあああああ!?!??!??!?!?」
島に響く絶叫を木々を慌ただしく揺れていた。
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