第109話 クリムゾン・プリンセス
オニキス・オンラインに登場する吸血鬼は「スラカイト」大陸には存在しない。基本は「リリクロス」で生息している。なので、「スラカイト」では、伝承でしか伝わっていない。
外見的特徴は人間に近く、肌が白く瞳は赤い。コウモリのような翼を展開し、空も自由に行動できる。夜世界の住人なので、夜は活性化しバフ補正がかかる。一般人の人間換算で言うと10倍以上に身体能力が上がるとされている。
オニキス・オンラインの吸血鬼は、珍しく太陽の光が照らされた大地でも歩ける種族。自由に出歩けるが、夜の世界に比べてステータスにデバフがかかる仕様となっている。
アイリス曰く、太陽を浴びると体がかゆくなるとか。
吸血鬼といえば血を吸う種族。血を吸うことで生きれるが、普通の食事を接種しても問題なく活動できる。
しかし、血を吸わない状態が長く続くとより好戦的になり力も倍増するが、殺戮を楽しむ悪しき者となり本能のまま行動する。
二度と吸血鬼に戻れないケモノの吸血鬼、
吸血鬼族は大きく『始祖』、『真祖』、『一般吸血鬼』に分けられている。始祖は原初の吸血鬼。吸血鬼族の中ではアイリスだけしかいない。女王でもあるマリアさんは始祖の血を受け継いだ吸血鬼の位置付け、始祖よりも下の階級になる真祖。さらに交配することで血が薄い吸血鬼が一般吸血鬼。
アイリスの直系に当たるマリアさんやリーナさんは真祖であり続けれる。力は遺伝し、絶えることはない。
私の前にいるリーナさんは吸血鬼であって吸血鬼ではないっと戦闘前にアイリスに言われた。
そして、こうも言われた。
受け入れてくれ、と......
◇
「『フレイム』!!」
魔法による遠距離攻撃。魔術師専用魔法でもある『フレイム』は魔法使いが習得できる火の魔法の上位互換。なので単純に攻撃力も高い。さらに威力はスキル使用で跳ね上がっている。一度当たれば丸焦げになる熱量。
MP消費も少ない、私のMP量も多い。二つの事柄から連発も可能となる。
遮蔽物のない場所なので、相手であるリーナは避けるか魔法を弾くしかない。
普通はそういう戦法がセオリー。なんだけど......
「なんで......自ら当たりいってるの??」
リーナは避けるでもなく、魔法を弾く行動を取らず、ただ魔法に当たりにいき、私へ歩み寄っている。
「血が出ているのに......何故?」
まさに、不可解な行動。何かの作戦だと考えられるが......かれこれ戦闘開始から十分は経過している。
初めこそ、接近戦に持ち込み私に剣で斬りかかってきたが【
生憎、範囲ではなく時間だけどっと言いたいが自分の手の内を馬鹿正直に話す事はしない。
【
そして、今に至る。
確かに今のリーナには有効かもしれない。連発魔法の中、敵に近づくにはどうするのか。防御力に余程の自信があるのかわからないが攻撃を受けながら進んできた。
でも......
「血を流すなら、そこまで防御力はない」
リーナの体から血のポリゴンが発生している。さっきまで防御力に自信があるから無茶な戦法を取ったとばかり考えていたがそうでもない。自殺行為? ならわざわざ決闘なんてしない。何かある、じゃないと行動自体が無意味。
「『
魔法攻撃を一時中断して、自分のMPを回復した。
「月を壊せばハートが降るって......おかしな人」
「これでも気に入っているのよ」
性能面だけど......一回一回月の塊を壊さないといけないのは地味にめんどくさい。魔法攻撃もキャンセルになるからスピード特化の敵にしてみれば隙だらけ。今後の対策も増やさないと。それにしても、私が魔法をキャンセルしても攻めてこない。リーナの敏捷性なら何撃か私に喰らわせ事も可能なはず。
リーナは自分の体を見る。
「まぁ、こんなものかしら」
リーナが持つ黒剣。ガード......鍔と言い換えればいいのかな。鍔に巻きついている銀の鎖。鎖に意思があるのか勝手に解け、リーナの頭上で踊る。鎖の動きは生き物の如く。何かを嗅ぎつけた犬のように真っ直ぐリーナの体に付着している血へ。
「......何やっているのよ?」
動く鎖には驚かされたが、それよりも血に飢えた獣のようにリーナの血を吸うモーションには唖然の一言。
みるみる減る、こべりついた血。
黒剣に色が憑く。真っ赤な色。深みのある真っ赤な紅色が刀身に生まれる。思わず見惚れる美しさの剣、だが直感的にやばい雰囲気を醸し出していた。逃げる体勢を取る。防御系スキルや魔法はある、でも対処できない予感がした。なら私が取る行動は......間に合うか【好機姫幸】と【
「【
静かに発した名。振り下ろした黒紅剣は、主が宣言した名と共に自身の刀身から放たれし紅き斬撃が敵に直撃。
フィールドは爆風、爆発が吹き荒れる。
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