第78話 魅力的な中華服なのに、頭と武器で残念さが際立つ
「あれだよね、見たことがある装備だし......」
クイーンさん含めて四人。私が入れば五人。まさかの全員女性なのは偶然かそれとも......
歩きながら唯一の知り合いの人物に声をかけた。
「クイーンさん!」
「やぁ、ユミナか。今日はわざわざ............誰だ」
うん? さっきクイーンさんと話していた他三人が私を見るなり、クイーンさんの後ろに隠れていた。
私の声に反応したクイーンさんも段々、顔が引きつっていた。しまいには何某認定された。
「敵ですか......」
「まさかのレアエネミー?」
「クイーン、戦う?」
「う〜〜ん、悩み中」
何をそんなに怯えているんだろう、みなさん。私を誰かと間違えていないですか......そんなに怖がらせる見た目じゃないのに。うん? 見た目......もしかして。
私が頭装備にしているのは『ホーネットヘルム』。
やむなしと森を燃やしたり、落雷の雨を降らせたりでなんとか全部倒せた。群れで襲ってきたのでドロップ品も大量。タウロスに依頼していくつか作ってくれた。『ホーネットヘルム』もその一つ。
『ホーネットヘルム』は素材元が擬態蜂なので数秒、周囲の地形に同化できる効果がある。
しかし、追加効果で『毒攻撃を20%付与』が発動できる。私が習得している『ポイズ
そういえば、『ホーネットヘルム』。若干、修正されているとはいえ、リアルよりの被り物なんだよね。こんな蜂の被り物を被って人前に出たら人型の蜂モンスター出現って、即座に戦闘を余儀なくされるだろう。
うん? もしかして......『ホーネットヘルム』が原因か。
『ホーネットヘルム』を取り外す。蜂の被り物がなくなり、中からピンク髪のオッドアイの女の子が出てきてクイーンさん並びに周りにいた女性陣がようやく緊張状態を解除した。座り込む人もいた。
「びっくりしたよ、ユミナ」
「すみません、クイーンさん」
「あの、クイーン。もしかしてこの子が」
「そうだ、ニッカ。私のフレンドのユミナだ」
「魔法使いって話だったけど......どう見ても武闘家じゃん!?」
「いやな、カタリナ。私もわからないんだ」
「ピンク髪にオッドアイ、美少女って属性モリモリ。キタコレェ!!!」
「あまりはしゃぐな、ナーデン。ユミナが怯えているだろう」
「えっと、改めて。ユ、ユミナといいます。今日はよろしくお願いします」
「硬くなる必要はないぞ、ユミナ。気楽に気楽に」
「はい......」
「じゃあ、紹介するよ。そこの金髪はニッカ。”魔術師”だ。そっちの水色のショートはカトリナ。武闘家の職業。最後は茶髪のナーデン、剣士。以上」
「「「いや、雑!!??」」」
あっ、ハモった。
「もう少し紹介してくださいよ」
ほんわかなイメージのニッカさん。私と同じように杖を装備しているけど魔法使いではない。”魔術師”とクイーンさんは言っていた。
オニキス・オンラインでは初期職業から派生する上級職業が無数に存在する。スキル変化とは違い、特定のイベントや条件を満たさないと上級職にはなれない。私の初期職業は魔法使いだけど、何かしらの条件をクリアすればニッカさんと同じ”魔術師”になれる。
紺色の胴衣? 空手の選手が着ている服に似ている装備を着ているのはカトリナさん。口調が勝気系だった。
ヴァルゴよりかなりグレードダウンしている鎧を着ているのがナーデンさん。寡黙なイメージ。
なんか全体的にアタッカーよりの構成となっている。
「それにしても......」
カトリナさんが私の周りを回る。じっくりと私の装備を見ていた。
「ユミナって呼ばせてもらうよ。ユミナ、なぜチャイナドレスを着ているんだ?」
「このチャイナドレス、熱さダメージを防いでくれる効果がありまして」
チャイナドレス。又の名を『
背開きタイプのチャイナドレス。金色の刺繍にワインレッドカラー。行動の制限をなくすために膝までの長さのスカート。大きくスリットが入っているから私の足が丸見えだけど、
オニキス・オンラインでは特定のエリアに地形ダメージが採用されている。環境によって、フィールドに入るだけでプレイヤーがダメージを受けてしまう仕様。
火山やマグマだまりが置かれている『
大抵は耐熱や耐暑を用意してからフィールドを翔けるのがセオリー。
私の場合は、前持って入手した火炎モグラからの素材で作ったチャイナドレスがあった。同じく火山系フィールドによる地形ダメージを受けない効果が付与されてた。
『
「なんか......刺激的だね」
「ヤバいよ、クイーン。胸元がガラ空きじゃないのに魅力的だよ!!」
「あんなに布地にくっきりのボディーライン、見たことがない。てか、露出エグッ!?」
「可愛いけど、エロい。エロ可愛ってやつ!!」
なんか変な状況になっていた。
〜装備欄〜
頭:ホーネットヘルム(CHR:100)(VIT:200)
上半身:
下半身:
足:
右武器:
左武器:
装飾品
①:オフィの指輪:蘇生回数:0/3
「多少、イレギュラーがあったが、今から向かう」
「ねぇ、ユミナ」
「なんですか、ニッカさん」
「ニッカでいいわ。ユミナは魔法使いなのよね」
「そうですが......?」
「杖はあるよね?」
「もちろんです。待っててください。準備しますので......」
「ユミナ、なぜ拳武器を......?」
「いろいろ試したいなと思って、接近戦で活躍できる武器を依頼したら。大型グローブになっちゃって」
『
両腕に装備する関係上、他の武器を同時に装備はできない。
「綺麗ね......その杖」
「ありがとうございます。いい杖なので期待してください!」
「頼もしいな、ユミナは」
「あの、洞窟に入る前に聞いてもいいですか?」
「どうした、ユミナ?」
「みなさんはどうして、中盤よりのこのエリアにいるんですか?」
「まさか、クイーン。言ってないのか」
「アハハ......忘れていた」
「珍しいわね、そんなにユミナに会えるのが嬉しかったの?」
「ば、バカなことを言うな。そんなわけないだろう」
「「「本当かな〜」」」
あぁ、初めてみる武器だ。ハンマーだとね。それにしても大きい。巨大なハンマーを軽々と持ててしまうクイーンさん。カッコいいです。
「よし、今から『
三人とも一斉に私の後ろに隠れる。
「ねぇ、ユミナ。このチャイナドレス、素材何使ってる? 肌触りが凄い......」
「えっと、いやこれは......」
「はい、そこまでだよ、カトリナ。そういうのはマナーが悪いよ」
「す、すまん」
「はいはい、話を戻すよ。今日、あの洞窟に向かう目的は......蜘蛛狩りだ」
「蜘蛛ですか?」
「その蜘蛛が落とす素材を乱獲したいの。300個ほど」
「『300個』!?!?」
「本来は別のプレイヤーを誘っていたんだが、リアルで急用ができたとかで欠員が出てね」
「四人だけじゃダメなんですか?」
「これから乱獲予定の蜘蛛の出現条件が五人パーティーで洞窟に入るだから」
「他の子もダメでね。で、最後にクイーンが最近知り合ったプレイヤーがいるんだって話になって」
「それで私を誘ったくれたと。でもいいんですか? 最前線のみなさんと一緒にいても」
「クイーン曰く、回復系統が頭おかしいレベルの持ち主だと聞かされていてね。これから入る洞窟は高温の床、地下に進むにつれて溶岩のフィールドになる。発生するダメージ量がバカにならないんだ」
「分かりました。そういう事情なら喜んでお手伝いします。よろしくお願いします!!」
「ユミナ、硬くならなくていいぞ。みんな、畏まる言葉に拒否反応を起こす変人だから」
「その変人とフレンドリー関係を結んでいるのは群を抜いて変人さんだけど〜」
打ち解けたので、私たちは洞窟に入ることにした。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
下装備が空欄なのは、そういうことです。
スカートが靡いてもなぜか黒いモヤがあって見えないようになっている。
運営ぇええ(涙目)
蜂頭にチャイナドレス、ハイヒール。トドメは蜂の模様があるグローブ。
キメしぎだよね......ユミナの将来が心配になる。
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