第67話 糖の結晶化というより色気たっぷりのフェロモン持ち
私たちは
通学二日目であって少し新鮮さがなくなった。なんか夜の行動が主になっているかもしれない。通学路にいるのは凶暴化している獣系モンスターや
ヴァルゴやアリエスに素材などを預かってもらっている。オフィュキュースと戦ったディラオド古城や
今の私は成金ユミナ。当面のお金はなんとかなった。だけど、お金は使わないと利用価値はない。タウロスの鍛治費用が高い。『
「それにしてもヴァルゴの願い......これで良かったの?」
「アイリスとはもう一度、会わないといけません」
「だって......」
「お嬢様はいつから煩悩丸出しになったんですか」
「アンタが元凶でしょう!? アリエスといいヴァルゴといい。全く、人を性欲魔人みたいに言わないでよ」
「『魔人』ですか......またいつか戦いたいものです。アイツら、どいつもこいつ戦闘狂でしたから」
「オッーイ。話、聞いてる〜」
「あれは聞いていませんね、絶対に」
「だな、自分の世界へ行ってるぜ」
「これからシリアス場面があるにも関わらず......」
「と、ところでユミナ様」
「うん?」
「よ、よくお似合いです!!」
「そうだな、お嬢は素材が良いからなんでも着こなせるな」
「二人ともありがとう!!」
タウロスが製作してくれた『
前が短くて、後ろが長いドレスでもある『
なんというか人を魅了させてしまう潜在的なものを持っている。こういう惑わすタイプのドレスは体に絶対的な自信を持っている者が着てこそ真価が発揮される。おまけに前が短いスカートと素足が見えていることで余計に羞恥さが倍増していた。
「私......そこまで美脚じゃないのに」
「何をおっしゃいますか、お嬢様」
「あっ、戻ってきた」
「お嬢様の肢体は全ての女性を魅了する力があります。今でも私はドキドキするし、お嬢様の脚は究極美であると私が証明します」
「美脚のライセンスがいる時にお願いするね」
私はその場で一回転した。後ろのドレスが風を巻き起こしたことでなびいている。風が弱くて良かった。世の中にはイラズラな風というものがある。乱数をことごとく成功に導き、女性のスカートを捲し上げる。そんなラッキー展開が起こらなくてホッとしている私がいた。
『
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〜装備欄〜
頭:
上半身:
下半身:
足:バードラン(AGI:15)
右武器:
左武器:
装飾品
①:オフィの指輪:蘇生回数:0/3
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「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。これは、インフレ激化しすぎ問題」
新たに手に入れた装備品を装着して思ったことが口に出てしまった。
性能が良いもので上位プレイヤーの上になりたい欲は私にはない。元々の目的が別にあるから。
でも、強すぎるのも考えもの。
それに外付けの装備品に
装備欄三箇所が目立つ分、足の貧弱具合が限界突破している。滞空ができる点はデカいけどそれ以外の性能に霞んでしまう。ドレスにブーツ、合っているようで合っていない。ドレスといったらヒールだと勝手に思っている。走る向きではないし慣れないと歩きづらい点があるが、ドレスとの一体感が良い。せめて一つは欲しい。ヴァルゴの願いが完了した後、タウロスに足装備を作ってもらう!!
「お嬢様。願いを破棄することは可能ですか」
「どうしたのよ、いきなり!?」
「教会に行きましょう!!」
「いや、なぜゆえ!?!?」
「私の一生になってください」
「これから会う吸血鬼が可哀想になってくるぜ」
「アタシたちでヴァルゴに教育するのはどうでしょうか、ユミナ様」
「それもそうね」
「「「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」」
「何故、お嬢様含めて三人がため息しているんですか? 激おこです」
ヴァルゴはプンスカしていた。威圧感がない怒りのヴァルゴは可愛い。心を開いている者にしか見せない表情というのか。
嬉しい反面、残念さが際立つ。
「私の憧れ返して欲しいな〜」
「お嬢様が遠い目をしているのは気のせいですよね」
「ねぇ、タウロス」
「無視された!?」
「どうした、お嬢」
「
「まぁ、それだけお嬢に見惚れている証拠だよ」
「行動不能になってくれるのは重宝されると思うけど......毎回、モンスターが向かってくるのは嫌だな」
「それは心配ないだろ」
「うるさいぃぃいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!
うわぁ......獣系モンスターが見事なサイコロステーキになっていく。
「私の本職、トラップ装置なのかな」
「モンスターが強者に逃げるのはわかりますけど、確殺されるのに向かってくるのは......」
「本能の赴くままってやつか......人気者だな、お嬢は」
湧出がなくなったのか騒がしかった森が再び静寂を取り戻した。
予期せぬ乱獲で獣系統や昆虫系統のモンスターの素材類が地面に溢れている。
「いいわね、ヴァルゴ。自重しないと次からは本当に無視するからね」
「はい............分かりました」
ササクさと大量素材類を回収して、古びた洋館に辿り着いた。
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