第47話 唯一の存在

「ティーグル」


 中世ヨーロッパのような文明をモチーフにしているエリアとなっている。「ティーグル」は城を中心に建設された城塞都市。巨大な岩壁に覆われている都市でファンタジー全開の世界となっていた。



「首が痛い......」


「そんなに上げるからだよ」


「だって、城だよ!!」


 私たちは「ティーグル」のメインストリートを歩いている。


「それにしても......ユミナ。そろそろ教えてよ」


「うん、何を?」


 は親指と人差し指を使って輪を作る。


「あの人たちにいくら払った」


「やっぱり言うと思った」


 私とアクイローネの目線の先には......


「お嬢が首を痛める理由が分かるぜ!」


「お城ですか......あんな頂上にあって大丈夫なんですかね」


「まぁ、敵からは丸見えですね。何かしらの対策はあると考えられます」


 タウロス、アリエス、ヴァルゴ。三人とも物珍しそうに周りにある数々の建造物を眺めている。

 そして、案の定とでも言うのか。目立っている。ヴァルゴは好奇な眼はどうでも良いのは知っているけど、タウロスとアリエスも同様だったとは驚きだった。

 意外と星霊たちって鋼の精神を持っているんだね......


 ヴァルゴたちを見ている人々。主に女性陣は目がハートマークになっているのが見えた。

 勇気を振り絞って話しかける女性陣。三人の周りには人だかりが形成されていく。


「模範解答みたいな受け答えしている。ユミナの仲間は芸能人だったのか」


「いや、あれは......なんでもない」


「まぁ、確かに声を掛けたがる容姿だよね。スパダリ・清楚・ケモノっ子が好きな人には天国みたいな光景だろうな......あれ」


「もう慣れたよ......それよりも休憩したい」


「じゃあ、あそこに行きますか!」


 私は三人に声をかける。

「三人とも行くよ!」


 私の声に反応したヴァルゴに腕を引っ張られた。今の私はヴァルゴに体を預けている状態。



「皆様のご好意は大変嬉しいですが、私には心に決めたお方がいますので」



 ヴァルゴは微笑み、柔和な表情が溢れていた。


 急に何を言い出すんだぁあああああああ!!!?!??!? この騎士は……

 ヴァルゴの発言と私を凝視する女性プレイヤーたち。

 彼女たちは段々、羨ましい表情を私に向けていた。


 いたたまれない状況に耐えれず、ヴァルゴの腕を引っ張り、その場から離脱することにした。

 皆さん、私たちを温かい眼差しで見送っていた。

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