第45話 二人目と三人目は元聖女と鍛治職人
「で、何で私は
「これより、処刑を決行する」
わからん、全くもって理解不能。予想外の出来事というのもあって幻覚でも見ているようだった。
「てか、二人も何で
私を正座の姿勢にしたのは両端にいる
二人は
「悪いと思んだけど......
「許して......せつなを捕獲しないと僕らの命がないんだ〜」
「全然悪びれている顔に見えないのは気のせいだよね」
私と目線を合わせず、逸らし続ける二人。意外と口笛が上手いのが余計腹が立った。
「私は......屈辱な体験をした」
急に一人語りを始める
「ある少女に小テストで負けた」
うん? 小テスト......? 負けた............?
「この体験を糧に私は生まれ変わったわ」
言っている意味が分からなかった。いや、もしかしたら心を当たりある。
口出ししようとすると、二人に口を塞がれた。「黙って聞いた方が良いよ」の目だった。
「そして......私は」
携帯端末をポケットから出し、ある画像を私に見せてきた。
「私が王である!!」
写っていた画像の中身は定期テストの順位が記載されているものだった。
目を凝らしてよく見ると......嘘でしょう!?
「
私の驚きように
あのときの
「せつなさ~ん。大人しくこの王様
「何で、『愛』と『処刑』を融合した!?!?」
水と油じゃん!? 決して交わらない真逆の言葉たち。きっと今から私にイタズラする気持ちが高まってしまいIQが低下したのだろう。
それにしても......うわぁ~、なんて悪い顔。これから私は
私の肩に
「いきなり何、するのよ。私、何かした?」
「先週だよ~」
「まさか、あの小テストのこと......」
「ようやく思い出したようね。良い子ね、せつなちゃ〜ん!!」
「まだ小テストのことを根に持つなんて小さい器だこと。まぁ、それは胸がそうだから仕方がないか〜」
つい口走ってしまった。あっ!? これ、私死んだな......
「せつな。どうして君は執行時間を短縮したいんだ」
「やっぱりせつなちゃんはドMだったんだよ」
指をくねくねしながら私に迫る
「さぁ~せつな。私は這い上がってきたわよ」
「そもそも今回だけじゃなくていつも私に勝っているじゃん」
「私は常にせつなの上にいないといけないのだ!!(キリッ)」
「くっ、私は屈しない。やるならさっさと殺しなさい、絶対負けない」
「まさか、せつなちゃんの口から「くっころ」が聞けるなんて!!(歓喜)」
「録音は完璧であります!!(敬礼)」
おい、なにどさくさに録音しているのよ!? 消さないと奏(かなで)の寝言を言いふらすわよ......
「良くやったわ......奏。あなたには後で褒美を授けよう」
「ありがたき幸せ」
「は~い!! あたしは処刑リストを考えました。
何、新妻モドキをやっているのかな、この頭スイーツの女子は......
「勿論、全部さ!!みはる」
人生楽しそうだね、この三人は......
それにしても、なんでこの三人はここまで私をいじりたいんだ?
何か悪いことしたっけ?
テストだって五十位くらいだったし、普通の成績だったのに。
「それでは、初めは定番の「くすぐり」からいきますか」
爽やかな笑顔を見せるな。普段からそうしなさいよ。
いつもはぐてーとした顔がデフォルトなくせにぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
悪友からの刑が終わり、被告人:
「三人とも......覚えてろよ」
皆さん、これは決してイジメではない。今回は私だっただけ。前回はみはるちゃんが足をくすぐられ、その前は奏(かなで)が私たちの妙技に倒れていた。あれ? そういえば......
倒れている私に
「栄養をありがとう。せつな」
妙にスッキリとした顔でコーヒー牛乳を飲んでいる
「後ろを気をつけることね......
「返り討ちにする。で、ものは相談なんだけど......今からゲームしない?」
まさか、ログインした瞬間に従者に攻められるとは思わなかった。
そんなこんなで悪魔の所業から解放された私は今に至る。
まさか、リアルだけではなく仮想世界にまで魔の手があるとは
今日の私の運勢最悪だわ。
現在私は『ヴァーシュ』の宿屋にいる。
ベットに腰をかけ、目が覚めたアリエスとタウロスと談笑していた。
因みに私を襲ってきたスパダリ乙女座さんは正座させられている。首には私お手製の看板をかかっている。
”私は主を襲ったダメな従者です”と......直筆で書きました!!
「変なところを見せてごめんなさいね」
二人は目が泳いでいた。
「いやぁ〜 何と言いますか。あたいは凄いものを見たなと......」
牡牛座の星霊、タウロス。牛のツノに人間大の牛体、水色の瞳。上は牛柄ビキニ、下は鍛治職が着てそうなズボンの服装となっている。
「中々に信じがたい光景でした」
牡羊座の星霊。アリエス。羊の耳に華奢な体。腰まで届く長いストレートの金髪とエメラルドの瞳、白い肌を覆うのは純白の布地で構成されている修道服。
「ヴァルゴは......そのいつもあんな感じだったんですか?」
「私が長く眠っていたから......だと思うのかな〜」
「あたしはあんなヴァルゴを見たのは......初めてで」
「だな、あたいたちといた時なんて”冷酷”その者だったからな」
「へぇ〜 そうだったんだ」
私の目を一切見ようとしないヴァルゴ。小刻みに震えているのが分かる。
「ヴァルゴ......戻していいわよ」
「あ、ありがとうございます」
「こっちへいらっしゃい」
私は自分の膝を叩く。たじたじのヴァルゴの手を誘導して、強制膝枕を決行した。
縮こまるヴァルゴの髪を触る私は二人を見た。
「まぁ、色々あってこうなっているわ!!」
「お嬢......ユミナ様。もももういいいいいですかぁぁぁ」
声が恥ずかしさのあまり、震えているヴァルゴ。
「ダメよ、私が辞めてと言ってもヴァルゴ......辞めなかったよね」
「で、ですから......あれは。うぅぅぅ」
「えっと......ヴァルゴ」
タウロスと目が合うヴァルゴ。
「その......なんだ。あたいはお前が幸せなら良いぜ」
タウロスの精一杯の言葉だった。だけど、今のヴァルゴには耐えれなく顔を手で覆っていた。
膝から伝わるヴァルゴの熱が上がってきた。
「ヴァルゴも変わるんですね。安心しました」
アリエスは嬉しそうだった。アシリアさんに似ていることもあって笑顔が非常に眩しい。浄化されそうな私がいた。
「タウロス、アリエス。お二人に聞きたいことがあります」
私の声を聞いて、真剣な目になる二人。
「私はこれからヴァルゴと共に......まだ石化状態の星霊を探す旅に出ます。お二人はどうしますか?」
私の提案に少し考える素振りを見せる二人。
「勿論、強制ではありません。私はあくまで石化されている星霊を解くために動いているだけです。解いた後の行動は星霊の皆様に任せることにしています」
タウロスが口を開く。
「全く持って心外だな。ユミナ様。いや、これからはお嬢と呼ばせて貰うぜ」
続けてアリエスも口を開く。
「そうです、ユミナ様。自分たちを救ってくれた方に何も恩を返さないのは嫌です」
「私は嬉しいけど......良いの? 私と共に行くことになるのよ」
「ヴァルゴを見て思った......あんなヴァルゴは初めてだった」
「あたしたちではヴァルゴの心を溶かすことができなかった。それをこの方はやってのけた」
「きっと、この人と一緒にいればあたいたちも幸せになるんじゃねかと考えたんだ」
「そして、羨ましいかった。だから少し羽目を外してもバチは当たらないだろうとタウロスを話したんです」
「だから......」
「なので......」
私にひざまづくタウロスとアリエス。
「「貴方様の従者に加えてさせて頂きます」」
私は手を伸ばした。
「ヴァルゴ同様、二人にも後悔させないようにするわ!! これからよろしくね!!」
「「はい!!!!!」」
『NPC「聖女アリエス」の黄道(ホロスコープ)スキルが一部、解除されました』
『NPC「鍛治タウロス」の黄道(ホロスコープ)スキルが一部、解除されました』
『
・
星々が集う。絆が壊れることのない証明。
【ENERGY MOON】の上限が80までとなる。
十三夜、満月、十六夜(いざよい)、立待月の月でエネルギーが供給されるようになる。
吸収時間も5分短縮。
・
戦闘開始から8分間、パーティーのHPが減ることはない。
・
戦闘中、ランダムで種族:【星霊】のステータスが上昇。
発動者は上昇した星霊のステータス二人分を自身のステータス二つ分へ上乗せできる。
・
室内、屋外でも満月を生成できる。効果時間は発動者の元々の最大HPから現状HPとの差。
(HP1=20秒)
NEW:
巨大な月型のエネルギーを作り出せる。
月を叩くことで中からハートマークが降り、自分を含めたパーティーメンバーのMPが回復される。
NEW:
自分、パーティーメンバーのAGI(敏捷)を一定期間上昇する。
ニヤニヤが止まらなかった。
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