第4話 人の一生は循環していく

 洞窟での道中。


「はい、あげる」

 渡されたのは縦長のカード? 使い込まれたカードって印象。


「本来はユミナの強化が目的。初心者用の『暗然あんぜんの洞窟』に入っていたけど、もしかしたら落とすかもって願っていたらドロップしてくれてね」


「タロットカード? が欲しかったの?」


 私が『オニキス・オンライン』、ゲームを始める前にアクイローネが受注していたクエスト:【オフィ婆の占い】


【オフィ婆の占い】は最初の街である『スーリ』で受けれるお使いクエストで魔物に奪われた商売道具を取り返すのが概要となる。と言っても大アルカナ22枚全てを回収するのではなく、ランダムで2枚奪われたから回収するだけのクエストらしい。


 しかし……


「問題があってね〜 ランダムで算出されたカードがなかなか、出ないんだよね。私はようやく2枚揃ったけど人によっては1枚も出ないまま受注取消したプレイヤーもいるらしいよ〜」


「いいの? ドロップ率が低いアイテムを貰っちゃって?」


「別にいいよ!! 同じカードを2枚持っててもこのクエスト以外に使い道ないし……」


「それじゃあ、貰うよ! ありがとう!」


 アクイローネから貰ったタロットカードは『世界ワールド』のカード。アクイローネは『世界ワールド』と『女帝エンプレス』が回収対象のカードらしい。


 私はまだクエストを受注していないから残る一枚のカードの詳細が不明となっている。

 受けてみようかな……酒場にいるって言ってたし



「【オフィ婆の占い】クエストは、ユミナは受ける価値があるだろうし〜」


 アクイローネは何かを呟いたと思ったけど聞こえなかったので空耳だったかもしれない。




 アクイローネの後を歩いている私。

 洞窟の傍に少しだけ水たまりができていた。私は水面に顔を近づける。


 写し出された『ユミナ』の顔は少しだけ口角が上がっている。友人を誇るべきなのか、製作者を称賛するべきなのか分からないが意外と似合うと思ってしまう自分がいた。











 洞窟を抜け、始まりの街である『スーリ』に続く道を歩く私たち。隣にいるアクイローネが私の頬を触る。触れる感触もリアル。アクイローネの手の感触もリアル。周りの森の景色も本物の森林なのではと錯覚してしまう感覚。


「いい加減に離れてよ。あと、頬を触らないで」


「え〜えぇ。だって……」


「『だって』じゃありません」


 お母さん口調で隣でベタベタ触ってくるアクイローネを叱る。

 私はいつからアクイローネのお母さんになったのかと首を傾げていた。


「そうだ、アクイローネ。ステータスポイントはどうすればいい?」






 私はステータス画面を表示した。


 PN:【ユミナ】

 性別:【女性】

 種族:【人間】

 職業:①:【魔法使い】

  ②:【 】


 所持金:3500ノター


 Lv:10 

 HP:40

 MP:60


 STM (スタミナ):13

 STR(筋力):13

 MAT(魔法攻撃力):30

 DEX(器用さ):28

 AGI(敏捷):15

 VIT(耐久力):20

 LUC(幸運):12

 CHR(魅力):15


 ポイント残:30


 〜装備欄〜

 頭:なし

 上半身:見習い魔法使いのローブ

 下半身:見習い魔法使いのスカート

 足:未熟者の靴


 右武器:魔法使いの杖Lv1

 左武器:


 装飾品

 ①:


 〜スキル欄〜

 ・ランタンの

 LV × 60秒でプレイヤーを中心に明るく照らす。

 ・攻火炎アフ:小 

 火炎系魔法の攻撃力が1.2倍になる。

 ・無火炎フセ:弱 

 火炎属性のダメージを少し減らせる。

 ・見習いの初歩

 戦闘終了後、MPが10回復する。

 ・命の鼓動

 戦闘終了後、最大HPの5%回復する。

 ・採取 Lv2

 素材入手率上昇。



 〜呪文欄〜

 ファイヤーボール(2)→火の玉を飛ばす。

 ウォーター(2)→水を発射する。

 アイス(2)→氷の塊を放つ。

 ポイズン(4)→敵に毒ダメージを与える。発動者のLvに影響で持続時間増加。

 吸血(3)→敵のHPを奪い、己のHPにする。呪文Lvで奪える量が増える。

 吸魔(3)→敵のMPを奪い、己のMPにする。呪文Lvで奪える量が増える。

 軽壁(3)→自分もしくはパーティーの防御力が少し上昇。

 強勢(3)→自分もしくはパーティーの攻撃力がかすかに上昇。






 私の頬をつつき、微笑んでいるアクイローネ。


「せっかくだし、ユミナ自身で決めてみなよ。まぁ、ユミナちゃんがアクイローネお母さんにおんぶに抱っこされたいなら別だけど〜」


「それじゃあ、自分でやってみるよ。てか、良い加減に私の頬を触るのやめてくれますかね……」


「だって、ユミナの体。触り心地がいいんだもん〜」


「……電脳の体なんだけどなぁ〜」


 呆れた顔を出しながら、私は友人と歩いていた。

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