(二)-14

「おい、お前ら、俺の弟になにしてるんだよ!」

 そう大声を上げたのは、もちろん僕の兄の口唇だった。

 怯んで一歩下がった上級生二人に対し、兄はたて続けにパンチを入れた。

 それぞれ一発づつ殴られた上級生は、走って逃げていった。そのうちの一人は、唇を切って血を流していた。

「大丈夫か。怪我してないか」

 兄が僕に近づいてきて、頭を撫でてくれた。

「大丈夫、無事だよ。ありがとう」

「おう、それは良かった。よく耐えたな。お前は大事なヤツだからな」

 そういう兄に、僕は「うん!」と答えた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る