異世界人狼ゲーム 〜俺の幼馴染を殺したのは誰ですか?〜

シッピー&樽

第1話 幼馴染の死

『死』は誰にでも訪れる。


 だが、それが50年後なのか明日なのかは分からない。ひょっとしたら、今日この瞬間に『死』が訪れるかもしれない。


 しかし、そんな事を日常的に考えてる人は少ないだろう。


 現に、学校の中庭のベンチに腰掛けている少年……結城ゆうき 秋房あきふさも、そんな事は考えていなかった。


✳︎✳︎✳︎


りんの奴、珍しく遅いな」


 右手でスマートフォンを操作しながら秋房が呟く。


 秋房は常日頃から幼馴染の相良さがら りんと昼食を共にしているのだが、今日に限ってはいつも早めに来ている凛の姿が無かった。


 ――仕方ない、電話してみるか。


 秋房は手に持っていたスマートフォンを操作し、凛へと電話をかける。


 1コール目。微かだがコール音が聞こえた。


 2コール目。コール音が少し大きくなり、太陽が雲に隠れた。


 3コール目。コール音が直ぐ近くから聞こえ、逆さまになった人物と目が合った。


 ――……え?


 すると次の瞬間、何とも表現し難い音と共に、秋房の顔や身体に生暖かい液体が付着した。


「え? え?」


 ふと、秋房は屋上を見る。すると、何かがサッと動いた。間違いない――……誰かが屋上に居たのだ。


「き、きゃァァァァァッ!!」


 女子生徒の悲鳴が聞こえ、秋房は視線を地面へと……そこにあった『モノ』へと移す。


 赤く染まった『モノ』と、レンガの地面。時間が経つにつれて、レンガ独特の赤が違う赤に変わっていく。


 そして、その『モノ』からは4度目・5度目・6度目のコール音が聞こえて来た。


「……嘘だろ? り、凛なのか!?」


 そう、『死』は突然やって来たのだ。自分にでは無く、幼馴染に。


「う、う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛ッッッ!!」


 秋房の喉が、口が、心が悲鳴をあげた。


 目の前に広がる悲惨な光景は秋房の脳を焼き、心を破壊し、彼の全てを狂わせていく。


 『死』は誰にでも訪れ、他人の人生さえも一変させてしまうなのだ。

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