冒頭のセンセーショナルな書き出しで、読者にエログロ色を強く感じさせ、それ故に遠ざけてしまうかたが多いと予想されますが、本作の趣旨はそこではなく、より根源的な「人間とは何か」といった哲学めいた問いに向き合うための舞台装置としてのミステリー──自分はそのように解釈しました。
実際、グロいし、退廃的だし、不道徳だし、内容は小難しいしで、明らかに「お子様お断り」な内容ではあるのですが、とかく「考えることが好き」という骨太な諸兄にはぶっ刺さる内容だと思います。
付け焼刃でない、実力を伴った語りと、読者の興味を引き付ける構成力は言うに及ばず。こう言ってはなんですが、カクヨムでは極めて稀な、腰を落ち着けて読むに堪える作品であると保証します。お薦めです。