第19話

「お、お姉さん?」


「へへへ、ね、やっぱりさ、今日は二人で寝よっか? 冷えるみたいだし」


「で、でも……」


「……ダメかな?」


「ダ…ダメって言うか……」


「一生のお願い! この通り!」


「えっと……」





 お姉さんは耳元でそう懇願し、圧に負けてしまった僕は思わず首を縦に降ってしまう。




「きょ、今日だけですよ……」


「へへへ、ありがと」




 お姉さんの真っ直ぐなお礼の言葉。


 気恥ずかしくなった僕が何も言えずにいると、お姉さんは僕の頭に手を置き、優しく撫でた。





「あ、あの……」


「……そうだよね。突然知らない人の家に連れて来られたら不安にもなるよね。ごめん、気が利かなくて」


「え?」


「頑張るから。君が不安にならないように、君が涙なんか流さなくていいように、私、頑張るから。だから、安心して。これからは私が……」




 僕、そして自分にも言い聞かせるように話す、お姉さんの優しい声。


 そうして、決意表明でもするように、お姉さんは僕の耳元で囁いた。




「私が、絶対に君を守るから」

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