第14話

「わー待って待って! これはその違くて……で、でもさ、君、お家に帰ったとして、これからどうするつもりなの?」


「それは……まぁ、自分で何とかします……」


「無理だよそんなの。君は賢いかもしれないけど、まだ子供だよ? 保護者がいなきゃ、どうしようもないよ。その役目は私じゃなくてもいいかもしれないけど、ご両親から仮の保護者に任命されたウチからすれば、しっかりとした生活基盤がないなら、君を家に返す事はできないよ?」


「……え、両親から任命されたんですか?」


「え、あ、うん。あ、ごめん言うの忘れてた。お金払うときに、「どうかよろしくお願いします」って……」




 その言葉に、僕はまたまた驚愕した。


 あの両親、僕を借金の形に売っただけでは飽き足らず、こんな怪しい人に預けて行きやがった。


 あまりのいい加減さに、僕は何を言えなくなってしまう。




「だからさ、嫌かもしれないけど、どんな形であれ君が安全に暮らせるようになるまでは、ウチが【家族】として、君を守らせてくれないかな? 大丈夫。絶対に変な事はしないし、君が嫌がる事もしないから」


「で、でも、両親の借金まで払ってもらって、お姉さんにこれ以上迷惑かけれません。ここに住まわせてもらったて、僕にできることなんて何も……」


「ううん、君はウチの側にいてくれるだけで良いよ。1人の子供として、のびのびと成長さえしてくれれば他には何も望まない。あ、でも、強いていうなら、ウチが君に構う理由とかはあんまり難しく考えないでもらえると助かるかな。ウチ、あんまり頭よくないから、君を納得させられるような理由は考えられないような気がする……」




 お姉さんのその言葉に、僕は黙り込んでしばらく考えた。

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