第11話



「ど、どう? 美味しい?」


「あ、美味しいです」


「ほんと? 良かった〜!」




 お姉さんが作ってくれたカレーは美味しく、とても温かい味がした。


 僕が感想を述べると、お姉さんは喜ぶような、安堵するような素振りを見せて喜んだ。




「カレー好き?」


「あ、はい」


「お〜。まぁ、カレー嫌いな人ってあんまりいないからね。君は他に何か好きな食べ物とかはないの?」


「特に、ないですね……何でも食べます」


「またまた〜本当はケーキとか甘いものとか好きなんでしょ〜もしくは食玩とか……」


「お姉さん」


「……は、はい」




 何となく、お姉さんが不自然な話の仕方をしていると思ったので、強制的に会話を切った。


 このまま続けてしまったら、全てをうやむやにされてしまいそうだったから。


 さっきまでは突然の出来事に驚いて、お姉さんに主導権を握られてしまっていた。


 けど、今はもう違う。


 眠り、お腹も膨れ、お姉さんがそんなに悪い人でもないという事が分かった。

 

 それに、さっきのお風呂場の件に関して後ろめたさを感じているのか、心なしかお姉さんの勢いも弱くなっているような気がする。


 だから、僕からガンガン行こうと、そう思っていた。


 お姉さんには申し訳ないけど、自衛のためには仕方がなかった。


 僕の好きな食べ物の話なんてどうでも良い。


 さっきはお風呂とお姉さんの奇行のせいでうやむやになってしまったけど、僕が本当に話したいことは、もっと大切な事だった。




「聞いてもいいですか?」


「ど、どうぞ……」

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