底辺Vtuber、事務所建ててみた

こんにゃく

第1章 事務所建ててみた

第1話 採用されなければ事務所を建てればいいじゃない

「社長! これ持って敵を爆破してきてください!」


「...期待してる」


何故かグレネードを渡される。


: お、爆発か?

: 爆発キター!

: 爆発と聞いて


コメント欄が爆発しろというコメントで埋め尽くされる。

ここまで期待されてるし、やるしかないよなぁ...


「仕方ないですね...やってやりますよ! えーい!」


ドカーーーン!!


アラン•エルトレアムを倒しました


「よっしゃぁぁぁ!!!


_______________________________________________


こい...こい...こい!


拝啓 時下ますますご清祥の段お慶び申し上げます


バタッ


「またお祈りメールだ...」


これでいくつの事務所落ちたんだろ、やっぱり僕(俺)じゃ駄目なのかなぁ...僕のガワである安里ヒサトを見ながらそう思う。


「お前じゃ事務所に受からないのか? ヒサト...」


今の時代は個人Vには厳しい時代

1000人も登録者が行けばもう立派な上位VTuberを名乗れる、そんな時代だ。

でもチャンネル登録者1000人を簡単に越せる方法がある。

そう...事務所に入ることだ。


「でも受からないんだよな。人気がない個人だと中々...」


嫌な記憶が...同接1と0を反復横飛びして登録者1桁の今の僕の現状が...

高校で手に入れたバイト代とお年玉をはたいて始めたVTuberだったのに...


「僕を受け入れてくれる事務所ないかな...でも大手も他の所も軒並み落ちてるしなぁ」


何回も応募送るのもめんどうになってきたな。いっそのこと応募なしで入れれば良いのに...ん?応募なし...事務所...僕が入れる...


「そうだ! 僕が事務所建てれば良いんだ! そうと決まればすぐ行動! 取り敢えず調べるぞ!」


少年はお祈りメール続きで少しおかしくなっていたのだった。


結論!

よく分からないけど複雑!

PC用意しないと行けない! 給料やら税金やら手続きやら、法人と個人事業主の違いも分からん...

そもそも資本金からして全然足りない...


「はぁ...これじゃあ無理だな...」


「何が無理なんだ?」


兄さん!? もう帰ってたんだ。まぁ一応話してみるか...兄さん博識だし


「兄さん...実はVTuber事務所作ろうとしたんだけど資本金やら税金やら法人やら全然分からなくて出来そうにもないんだよ...」


「そんなことよりそもそも演者確保できるのか? お前に」


そうだった...事務所建てると自動的に演者も入ってくるものだと思い込んでた...僕知名度ないから演者呼べないんだった...


「その顔は全然考えてなかった顔だな?」


「うぅ...」


「まぁ、演者のことだが"この"お兄ちゃん"が何とかしてやることも出来なくはない」


「どこにそんなツテがあるんだよ..."お兄ちゃん"」


「山犬アキタ...分かるか?」


山犬アキタ...登録者20万人越え、個人勢の中でもトップに近い実力者だ。それがお兄ちゃんと何の関係が?


「分かったようだな。俺、実は山犬アキタの中の人なんだ」


え...聞き間違いじゃないよね?兄さんがあの個人VTuber界トップの山犬アキタ...?


「兄さんが...山犬アキタ? そんなバカな...本当に?」


「本当だぞ。ほれSNSのデータ」


本物の山犬アキタのSNSだ。マークもある。じゃあ兄さんが山犬アキタの中の人!?


「実はお兄ちゃんな、個人勢辞めようと思ってたんだ。税金とかめんどくさいし安定もしないからね」


「だから僕の支援してくれるの?」


「まぁそうだな。はっきり言って俺は社長とか上の地位になりたくない!責任も負いたくない!でも作ってしまうと上の立場になってしまうだろ?」


「それはそうだけど...」


「そこでお前だ。お前が上に立って俺がその下になるんだ。お前は事務所作れてハッピー、俺は事務所で自由にやれてハッピーだ。winwinってやつだよ。」


もしかして兄さん...僕を操り人形みたいにして僕を裏から操る気では...まぁ僕は事務所でVTuber出来たらそれで満足なんだけど。


「よし! 決まりだな! じゃあ俺は演者を集める。諸々は調べといてくれ! 演者は幾つか候補を出すから二人で決めよう」


あっ、行っちゃった

自分で調べろって...まぁ僕がトップになるって言ってたから当たり前なんだけど

というか僕にトップが務まるのか...?まだ高校生だぞ...


あれ...?大丈夫かこれ?

今更になってことの重大さに気づいてきた。

まぁでも中学生で社長とかネットでみた気がするしなんとかなるか!


しかしこの少年、柳沢真人は楽観的であった。


何はともあれ、取り敢えず調べないとな

ほうほう、取り敢えず最初は会社とか作らずグループでやる。

その後人気が出てきたら会社等にした方がいい...なるほどね

デメリットとしては信用が低いということらしいが、これは有名VTuberの犬山アキタがいるから大丈夫だろう...多分


「真人~目ぼしい人のリスト作ってきたぞー」


仕事が早いな!兄さん!


「前置きは飛ばーす! まず一人目ェ!」


「兄さん言っちゃって!」


「登録者5000人!鳥目カモメェ!実力者だな。少し前まではゲーム実況をしていたが歌ってみたを出したことによって登録者がはね上がった。歌が上手いという印象だな」


少し歌ってみたを聞いたがまず声がよく通る声をしている。正直言ってもっと伸びていいと思う。


「透き通った声をしていて上手いな...そう思わない? 兄さん?」


「この声は強いな...次行くぞ、登録者3500小山内タイヨウ。語尾にOOっす、と付ける体育系女子だな。なんか陽キャっぽいしなんでこの業界に入ったのか謎だ」


一目見た印象は男女問わず関わってくる陽キャ女子...うっ...頭が...


「OOっす、は個性になるし強いな...」


「それもそうだな。そして最後が本命北王子白水...登録者は500人だ」


「本命が500なの? 兄さん?」


登録者が全てとは言わないけど兄さんの本命が登録者500人?

何か物凄い個性があるとかかな


「まぁ配信を見てくれ」



「............................あっ......えぃ! ......つよい......あ、やばっ........かった.....いぇい...」


殆ど無言...だと...でもその中に微かに良い声もある。

声を出すようになったら確かに逸材だな。このままの方がいいかもしれないけど。


「俺のコネが使えそうで来てくれそうなのはこいつらだ。どうする?社長さん?」


「社長って...気が早いんだから兄さん。出来ないかもしれないだろ?」


「俺は登録者20万人越えの山犬アキタだぞ? 失敗はありえない!」


まぁそうだけどさ、兄さん。登録者20万人越えしてるから何とでもなるけどさ。


「兄さん、全員来て貰って良いと思うよ。兄さんもそう思ったから見せたんでしょ?」


「その通り! まぁ適当な理由で採用しなかったらお前にvtuberを見る目がないと判断して資金も演者のことも何もしないでいるつもりでいた! それじゃ! 声かけてくる!」


また兄さんどっか行っちゃったよ...あれ?もしかしてこれって資金と演者のこと兄さん任せにしてるから...僕兄さんに逆らえなくなった?

考えないようにしよう。そうだそれがいい。

こんなんでこの先大丈夫かな...












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る