魔法の猫は夢を見る

内月雨季

第1話

 私の名前は、佐藤由良。十六歳。どこにでもいる地味なJKだ。高校生は悩みの一つや二つ、あると言われているが、私にだってある。それは……。先生に朝から追いかけ回されること。そんなに先生たちは私のことが好きなのか。いや参ったな。

「いや違うから」

「え?」

私のひとりごとにツッコミを入れてくるのは、小学校来の幼馴染。るんちゃんだ。

「るんちゃんバッサリ切るねー」

「いやあんたが茶髪ピアスに化粧してケツ見えそうなスカート履いてるから説教のために追いかけ回してんでしょ」

「えー? でも私テスト毎回一位なんだから少しくらい見逃してくれても良くなーい? てかなんで髪染めピアス化粧がダメなわけ? 別にやることやってんだしいいじゃんね」

「一応心配してんじゃない? 変な人に絡まれないようにとか」

「私がいるせいで学校の名前に傷がつくのが嫌なんだろうけどさ」

「うわー結構生々しいこと言うね」

「事実だと思います」

「まあとにかく今日も頑張れ」

「うい」

 学校に着いた。さあ、今日も始まるぞ。先生との鬼ごっこが。

「おはようございまーす」

「おはよう佐藤。ちょっと待て」

「あ、今日も急いでるんで。それじゃまた授業で」

 そう言って、自分の教室にダッシュする。

「待てー!」

 先生もダッシュ。だがやはりおじさんにはきついようだ。現役陸部をナメるな!

「がんばれー」

るんちゃんの、腑抜けた応援が後ろから聞こえた。

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