ナイツ・クラウン ~奔放騎士と翠髪の乙女~
紘都果実
プロローグ/Epilogue
掛け値なしの、栄光だった。
風が舞う。熱が躍る。
色彩豊かな紙吹雪が青い空を目掛けて浮遊し、喉が張り裂けんばかりに発せられた民衆の歓声が、その昂ぶり様を知らしめる。
紛れもない祝福の時だった。誰もが羨望と感嘆の心地で〝騎士〟たちの凱旋を喜び祝う。
整然と並び立ち、鎧姿の兵士が一糸乱れぬ歩調で行進する。全身に鋼を纏ったその姿の、猛々しくもなんと壮麗なことか。彼らこそ、国が誇りし歴戦の勇士らだ。
先陣を切るのは、一際見事な甲冑に身を包んだ名立たる戦士たち。
そして、すべての武人を率いて歩む彼の者こそ、完璧にして理想の〝騎士〟。王に従う剣の中でも、最強の称号を与えられた無缺の英雄である。
幾千の兵を従えてもなお、その佇まいに鈍るところなど少しもなく。
なればこそ、彼はすべての〝騎士〟の頂に立つ者なのだ。
だが英雄はひとりにしてならず。背後に並ぶ戦友たちの存在があってこそ今の自分があり、これからの未来が約束されていることを、彼もまた充分に理解していた。
一際大きく、民衆が勝鬨をあげる。〝騎士〟たちの活躍によって敵国の脅威は去り、漸く平和の時代が訪れるのだ。
熱狂、歓喜、満ち足りた使命感。
それは喩えようもない、彼らにとっての栄光だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます