言葉のままに

@CONFESS

第1話 最後の思い

 もっと早く読んでいれば、、何かに気づいたのかもしれない。 


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 最近は、小説を読まなくなった。浪人の末、合格した大学での生活に明け暮れていたせいか、本を読むのが億劫になってしまった。今年の春、大学2年生になり、ようやく落ち着いてきた。


 女21歳、地元から離れ一人暮らしで、サークル活動や学業とバイトの両立の際のバランスも何とか掴めてきた。


 日曜日の朝のたくさん寝たはずなのに、まだまだ寝足りないこの眠たさは何なのだろうと思いながら、インスタントコーヒーを流し込み、物足りない左手は何の気なしに本棚のある本を掴んだ。


 なつい。高校の時に読んだ恋愛小説、本好きの友人に貸したものだった。友人が好きだったのはミステリ小説だったから、恋愛小説を貸してもあんまりいい反応はなかったが、喜んで読んでくれていたことを思い出した。


 大学進学を機に、遠く離れた友人はいま何をしているのだろうと思いながら、ページを捲る。こんなにゆっくりできる日曜日も悪くない。


 本の内容はよく覚えていなかったので、再読もたまにはいいと思って読み進めていた時、本の隙間からメモが落ちてきた。メモは友人が好きなキャラクターが隅っこに描かれていたが、それ以外にもIDらしき英数字の羅列があった。何のIDだろう。久しぶりに連絡でもしようかな。とスマホに手を伸ばした時、電話が鳴った。


 高校の同級生からだった。メモの所有者、友人が亡くなったらしい。理由はまだわからないが、自分で命を絶った可能性が高いとの旨だった。


 メモの文字がにじんでぼやけた。なんでだろう。同級生の言葉は理解できずに、音声だけがスマホから流れていた。

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