絶対の望月
水川杏
上弦 一度目の望月
もうこの世界には絶望しか残されていないのでしょうか。
僕は思い切ってこの絶望を振り撒くことにしました。
どうせ元から絶望しかないので、あまり関係ないとは思いますが。
秋。自然豊かなこの場所では、もはや人より鳴く虫の方が多そうだ。ここは田舎だ。紅葉は綺麗だし、高いビルも一個しかない。SNSで都会を羨む日々だ。ここで僕は雄大な自然に幽閉されている。
僕は高校三年生になり、将来を考え始めていた。僕には進学という道はなかった。なぜかと言えば、僕の父はこの辺りでは有名な大企業に勤めており、詳しくは知らないが、かなり偉い立場らしい。そこへ入社するんだよね、という空気が家庭内にずっとあった。
僕の通う高校には職場を見学できる制度がある。見学くらい違う会社に行きたかったが、友達や先生にも「お前はお父さんのとこだろ?」と決めつけられていた。いい加減嫌だったが、もう慣れた。
僕は父が嫌いだ。幼い頃から仕事ばかりだし、優しい母にきつくあたる。だから正直父の会社には行きたくなかった。
僕には兄がいる。兄も父が嫌いだった。とても頭と要領も良かったので都会の大学へ進学し、そこで大企業に入社した。裏切られた、と思ってしまった。
だからこそ僕は父の会社へ入る以外にもう無かった。母も何も言わないがきっとそれを望んでいると思う。
噂の会社見学の日が迫り、各々希望を提出していた。僕のは希望であって希望では無いが。
僕の通う高校は田舎ということもあり、大学進学を希望している人はあまり居なかった。中には都会の大学へ進学する子もいたが、その子たちはもう別の派閥としていつからか出来上がり、人見知りなので関わりはなかったが、同じ教室でも知らない存在のようになっていた。僕は多数派の就職組にいたが、実際に話す人はかなり少数だ。
「いいよな、お前は大企業に行くことが決まってて。気楽なもんだよなー」
「ほんとに、そう。私たちも入れてよー」
僕はいつもならこんな言葉にもなんてことなく返すのだが、今日はなんとなくそんな気分では無かった。
この二人はあまり人とのコミュニケーションが苦手で、ほぼ内定を持っているという本来疎ましい存在である僕と、ずっと仲良くしてくれている変わり者だ。
男の方は上代悠太。全体的に雑な性格だけど、悪いやつではない。ずっと大企業に入りたがっているが、僕には理解できない。女性の方は園田美夏。僕は今まであまり女性と関わって来なかったのでどんな人か掴みきれていない。ただ僕に話しかけてくることが多く、変人であることは確かだと思う。
「ちょっと、黙っちゃったじゃん。悠太のせいだよ」
「俺?いや、ごめんてば直樹、羨ましくてついつい悪ふざけしちゃったんだよ」
僕は笑いながら答えた。いやわからない、引き攣ってたかもしれないけど。
「気にしないで。羨ましいでしょ」
「正直な、本当に羨ましいよ。そうだ、なあ見学だけでも行っちゃダメか?」
「うわ、それいいね!私も行きたい!」
「僕は全然いいよ」
「「よっしゃ」」
二人が声を揃えた。二人とも声が大きくて鼓膜が痛かった。手元の見学希望先を書き込む紙には父の会社名、「アブソムーン」と書かなければいけなかったのであろうが、僕はなんだか色んなことに腹が立ち、「父の会社」と書いた。
僕はずっと真面目に生きてきたと思う。小学校も中学校も学校が終われば母の言い付け通り塾に通っていたし、友達と遊びに行ったこともほとんどない。高校に入ってからは、塾こそやめたが友達とは遊ばずにまっすぐ家に帰っていた。買い食いもしないし、二人乗りもしてない。ましてや喧嘩、暴力、いじめとは無縁に生きてきた。
その日も僕はまっすぐ帰ろうと鞄を肩にかけた。そこへ、悠太と美夏さんがやってきた。
「なあ、今日ぐらいは一緒に寄り道しねえ?」
「いや、あんまり興味ない」
「たまには息抜き大事じゃない?就職決まってんだしさあ」
「私もたまには直樹と遊びたいよ」
「興味ないんだよね」
そういうと二人とも露骨に拗ねた演技をした。そして僕に背を向けて「いつものとこで駄菓子食うかー」「また?でも駄菓子美味しいかんね!」と僕に聞こえるように言った。
僕は不可解だった。今までもこの二人には何度も誘われている。何故まだ懲りないのだろうか。一回行ったら諦めてくれるだろうか。
「僕も、行こうかな、いいかな」
それを僕が空に放った瞬間、二人は目を輝かせてそれに飛びついた。
「おっしゃ!行くぞ!」「やったあ!ついにだあ!」
二人とも声が大きくて鼓膜が痛かった。慣れない。
自転車置き場まで歩くだけでも二人は大変賑やかで、少し嫌だった。しかも駄菓子の話をずっとしている。どんだけ好きなんだ。
「直樹の自転車どれよ!後ろ乗れる?」
「ダメでしょ二人乗りは」
「かたいなあ、バレなきゃいんだって」
「悠太のにしてよ」
「ダメだぜ、俺のはロードバイクだから乗れないぜ」
露骨にテンションが高い二人を感じて、眉間にものすごく皺がよった。しかも結局校門を出てすぐに無理やり後ろに乗られて、眉間に皺がよった。
「おもしろ!悲しい犬みたいな顔してる!」
「こっち向いてもっかいやって!」
運転中に後ろ向くわけない。
しばらく走っていると、ススキが覆っていた道の傍に駄菓子屋が見えた。美夏さんが後から飛び降り、「おばちゃーん」と声を上げながら走っていく。
そこからはなんだかふわふわと時間が流れた。駄菓子を教えてもらったり、それがとても酸っぱく、顔自体を窄めたりした。他にもじゃんけんでお菓子を取り合ったりもしたかな。
家に着いた時には外はかなり暗かった。ドアを開けた瞬間、母親は僕を心配していたようで足早に玄関へやってきたが、僕の顔を見て安堵したようだった。母は何も言わなかった。ただ、食事の用意をしてくれた。
「楽しかったな、すごく」
「…そうみたいね、今まで心配してたけど、大丈夫そうね」
それ以降は何も話さなかった。けど全てばれているような気がした。
次の日から、僕は二人とたくさん遊ぶようになった。そうすると二人は色んな場所へと連れて行ってくれた。二人と仲良くならなかったら、僕は一生後悔していたかもしれないほどの絶景スポットや、少し遠いスーパーのフードコートで買い食いをした。こんなに楽しいと思ったことは今まで一度も無かった。
会社見学の日が迫っていたが、二人と過ごしているおかげであまり気にせずにいられた。今まで真剣に向き合うことだけが、しんどいと思うことへの対処だと思っていた僕にとって、こんなやり方があったなんて衝撃だった。
実際に日々は流れている。明日は会社見学だ。いつものように二人と駄菓子屋に来ていたが、頭の中に明日のことがチラつき、楽しめなかった。酸っぱいガムが当たった気がしたが、その味も不明瞭だった。
「なんか今日元気ないね、明日が見学だから?」美夏さんが横に座って話しかけてきた。
「やべ、明日見学か!なんかいるっけ」悠太が口にカツを突っ込みながら言った。
「いや、なんもいらないはずだよ」僕は下を向いたまま言った。
「正直羨ましいと思っちゃうけどなぁ」悠太が放った。
美夏は慌てて指を口に手を当て、静かにのポーズを取った。悠太がそれを見て口を窄める。沈む夕日が空白の時間を心配そうに見つめている。
数分冷たい時間が流れたが、ここで悠太が沈黙を破り話し出した。
「オレんちすげー貧乏でさ、でっかい会社に入って家族を助けたいんだよな」
悠太は二部屋だけの狭い家で暮らしていた。両親と弟二人。父は中学生の時に亡くなった。父親が大好きだった雄太にとってはかなりのショックだった。その後母親はパートで家族全員を養っている。貯金をかなり母親がしていたおかげで今はなんとかなっているが、家計が苦しいのは目に見えてわかる。高校も無理して入れてくれたのはわかっている。
「だから大きい会社に入れるのが決まっているってのは羨ましいよ」
「でも父のコネだ、仲良くもない父の。気分は良くないよ」
「お父さんのもとで大企業で仕事ができるのに、その態度。正直ムカつくよ」
「勝手に想像で適当なことを言わないでくれ、僕こそ腹が立つ」
取っ組み合いの喧嘩なんて、というか人と言い争ったことなんて一度も無かった。頭に血が昇るというものを体感した。我を忘れた。その日は仲直りもせずにお互い口も聞かずに帰った。
美夏はそんな二人を戸惑いながらも、なにも言わずに観ていた。二人の口から黒い息を吐き、鋭く絞った目を見て、目に微かに涙が溜まった。
翌日、会社見学の日となり、父親の会社を前に直樹はため息が出た。悠太と直樹はここまで一言も交わすことは無かった。灰色の澱みが三人の間に溜まっている。
本当に嫌だったが、行かずに帰るなんて出来る訳ないので、一歩踏み出し自動ドアを開けた。久々に父を見た。その目は「僕」ではなく「会社見学に来た高校生たち」を見ているとすぐにわかった。
「ようこそ、アブソムーンへ。今日一日は私が案内させてもらうよ。私は社長の三島浩孝だ。今日一日、よろしくね」社長になっていたなんて全く知らなかった。綺麗なスーツを着ていて、もう父という感じは全く無かった。会社の外見も真っ白なビルで目立っていたが、中も真っ白でだだっ広く、思わず背筋が伸びてしまう。受付やエレベーター、整えれた植物などがあり、都会の建物という感じだ。がそのまま応接間のようなところに通され、少し待ち時間になった。
「いい加減仲直りしてよもー、緊張感が増えちゃうよ」
すると悠太はすぐに喋り始めた。
「…すまん、直樹、昨日は悪かった、会社がきちんとしすぎてて昨日とかじゃなく早くお前に助けて欲しかった。すげーな、田舎にあるとは思えないぜここ」そこまで砕けた形でこられて、僕自身も飲まれかかっているので、確かに昨日のことなんてどうでも良かった。
「…気にしないでいいよ…ここには僕もびっくりしてる」
「えっ」二人の声が重なった。
「お前も来たことないの?」
「ない、社長なのも知らなかった」僕の発言に二人はかなり驚いた様子だった。
再び静寂が僕らを包んだ。
ドアが開き、社長が戻ってきた。会社の概要などを説明されたが、難しい用語も多く、あまり理解できなかった。どうやら、再生可能どころかほぼ無からエネルギーを生み出すことが出来る。そしてそれを管理するのがこの会社の主な業務のようだった。
聴きながら、そんな夢のようなものがあるのか?何か悪徳なことをしているのか?と疑問が湧いてきた。そして同時に嫌いな父がやっていることだからどうせ碌なことではないんだろうと思ってきた。苛立ちと諦めの混ざった感情だ。
その後の説明で、取引先として出てくるのが世界的な大企業ばかりで信じられなかった。電力会社や自動車メーカー等、誰でも聞いたことがあるような社名が並んだ。
「さて、こんなところだが、いや、少し私情が挟まってもいいかな」
二人が僕の方を見た。私情と言ったら僕と父の何かだろうと思うのは当たり前だ。
僕は俯いたまま、何も言わなかった。
「君には見せたい物がある。二人にも特別に見せてあげよう」そう言って社長はドアを開け、僕らを外へ出るように促した。二人は僕が立つのを待っているのを感じ、僕は覚悟を決めて外へ出た。
真っ白な壁や床に包まれた廊下を進み、エレベーターに乗り込んだ。B2[#「B2」は縦中横]のボタンが押され、ゆっくりと動き始めた。エレベーターは静かに地下へと降りていく。でもその音が耳にしっかりと届くほど中は静寂に包まれていた。そして停止した。
「さあ、着いたよ。ここで見たことは内緒にしてね」
僕らはそこへと一歩踏み出した。そこは暗く、鉄柱が剥き出しで工事現場のような感じだった。社長に続き歩いていく。
奥には見たことのない、だが危険だと見てわかるマークが書かれた重そうな扉があった。僕は息を呑んだ。何が待っているのだろうか。ゆっくりと扉が開く。
扉が開くとそこは草原だった。あたり一面の草原で、地上の外に出てきたのかと思ってしまう。脳が混乱した。そしてふと頭上を見ると半月が浮いていた。月にしては近すぎるが、月だ。しかも、「半分になった月」ではなく、半月だ。
「綺麗…」「うわっ…すっげえ」声が後ろから聞こえた。
「ここまで来てくれ」社長はかなり奥にいた。体が引っ張られるように奥へと歩いていく。奥には湖があった。湖面には半月がゆらゆらと揺れている。
「なんなんですか、これ」
「これがうちの企業秘密だ」
どこから何を聞けば良いのか分からなかった。
「三人ここまで来て横に並んでごらん」
言われた通り湖の前に並んだ。
「右手を前に広げて出すんだ」
出した。そうすると、天井からコインが降ってきて手のひらに着地した。全員で上を見上げる。上は深く広く暗いだけで何かがあるようには見えない。魔法や妖の類としか思えない。コインを見た。とても綺麗な黄金色で新品っぽいということ以外特徴はない。
「それを湖の半月へ願い事をしながら放り投げるんだ。小さな願い事がいいかな」
悠太が投げた。美夏は少し悩んでいるようだ。僕も悩んだが、何も考えずに投げてみることにした。
あれから月日が流れた。僕は姿見の前でスーツを着た。ネクタイを整え鞄を持ち、家を出た。思い返すと三年間はあっという間だった。悠太と美夏とは今度卒業旅行に行こうという話になった。
悠太は昨日都会へと行ってしまった。都会の商社マンになった。美夏は地元近くのの電力会社に勤務になった。駄菓子屋の前で毎日駄弁っていたのがもう出来ないと思うと寂しかったが、今は新しく始まる生活に専念するしかない。僕は会社へと一歩踏み出した。
「君がコネ入社君か」
会や見学の際に社長が立っていた位置にいた男性は既に嫌悪感が最大だった。僕は小声で「よろしくお願いします」と言った。
この方は僕の教育係で、ここで五年ほど働いているらしい。給料がかなり良く、辞めに辞めれずここまできた、と言っている。やはり仕事は大変なのかと不安になる。
当たり前のようにエレベーターに乗り込みB2[#「B2」は縦中横]が押される。そこで急に動悸がした。あの恐ろしく綺麗な月と湖を、再び見ることになるんだと。動悸が続き、重い扉の前へと辿り着いた。
扉が開いた。変わらず月が浮いている。が、前に見た時より少し満ちている気がする。
僕は先輩に続いて、湖の方へと進み、前に立った。
「俺の下ってことは、この望月の面倒を見ながらエネルギーを作っていくのが仕事だ」先輩は月というより、湖のほうを見ながら言った。
「具体的には何をするんですか」僕が尋ねると、先輩は右手を広げて突き出した。どこからかコインが降ってくる。それを慣れた手つきで湖へと放り込んだ。そして、部屋を出て行こうとしたので慌てて着いていく。
「これを見ろ」指差したのはドア横のメーターだった。針が振れて数字が勢いよく増えている。
「これが全て電力だ。恐ろしいだろ」僕は信じられなかった。学校で散々習ってきた物たちの理屈を全く無視している。あり得ない。
僕も湖の前に立ち、右手を出した。コインが二枚落ちてきた。
「二枚?」先輩も驚いた様子だった。
僕は何も考えずに放った。
「二倍になってる…」メーターを確認した先輩はそう言った。
その日から、そこに住み込みでの仕事が始まった。地下のエレベータ近くにある簡易的な寮と、湖を行き来するだけの生活だ。僕と先輩でコインを投げ入れ、支給されるコンビニ飯を食べ、寮で眠る。曜日や時間の感覚も少しずつ分からなくなるんだろうな、なんてことを考えていた。金曜日になると少量の酒が支給される。土日もコインは投げる。異常な環境だ。
ある日、寮の部屋がノックされた。開けると先輩で、片手に酒を持っていた。
「少し、腹を割って話さないか」
今までそんなことどころか、あまり会話をしたことがなかったので驚いた。この仕事は業務連絡すらない。僕としては初めは気まずかったが、もう慣れてきていた。
机に向かい合って座った。正座をしたが「崩してくれ」とすぐに言われた。
何を話されるのかと緊張した。支給されていた缶ビールを開ける「カシュッ」という音が室内に響く。
乾杯を促され、僕も慌てて開け、乾杯し、口をつけた。
「月、満ちてきたな」
「そうですね」
確かに初め見た時は半月だったが、今では満月が近くなってきている。
「俺のことどう思ってる」なんとなく投げられた。
なんと言ったらいいのか。なんと言って欲しいのか考えたが、素直に答えることにした。
「仕事の先輩、としか」先輩は何かを思っただろうか、一瞬だけ哀愁のある顔をした。
「それでいい、そうとだけ思ってくれ」
そこから少しの間、何気ない過去の会話をした。
思っていたよりいい人だった。もう少し前からコミュニケーションを取っていればよかった。
「お前、お父さんやお兄さんのことをどう思ってる」
僕は甘えて全てを話した。酒酔いも助けたかもしれない。
父や兄を憎んでいること。優しい母を裏切り、自分にも優しくしてくれたこともない。最低だ、と。
「そうか、でもお前は似ているよ」
「似てませんよ、あんな血も涙もない人たちとは」
「俺はお前の兄貴、恭弥と仲が良かった。あいつはいいやつだよ」
時は数年前
「俺嫌だよ、親父の会社に行くの」
恭弥は会社見学の前からこればっかりだった。もう聞くのもうんざりするほどに。
「じゃあ行かなきゃいいだろ、お前の頭ならいい大学に行ける」
「そしたら直樹が行かなきゃになるだろ、あいつは責任感もあるし優しい」恭弥はポケットからコインを出した。
「なんだよ、それ」
「小さい時に、あいつがくれたんだ。家の近くにあった、今は潰れたゲーセンのメダル。あいつだってもう一回やりたかったろうに、譲ってくれたんだ。何故か今でも覚えてて持ってんだ」
「いい話だな、まあでもしょうがないんじゃないのか?」
「あいつは知らない、あの会社はイカれてる。タダからエネルギーなんか生まれない。当たり前だ」
恭弥は幼い頃からアブソムーンへ度々連れて行かれ、月の話もたくさん聞いているらしい。俺にはぶっちゃけなんもわかんなかったが。
会社見学にはゴネる恭弥を連れて行った。そこで俺も月を見せてもらった。
驚いた。こんなものがあるなんて。信じられなかった。
春、恭弥は都会の大学に合格した。でもあいつはそこへか行かなかった。
それからしばらく、連絡が取れなくなった。俺は普通の会社に勤めていたが、突然クビを言い渡された。時を同じく、両親が事故に遭い、莫大な金がかかった。
そしたら恭弥から電話があった。「うちで一緒に働かないか」って。
渡りに船だと思った。
「それで俺はここで働いてる」
「兄はどこの部署なんですか、今もここに?」
「部署は知らない、ここにはいると思う」
だが、僕は腹が立った。何故黙っていたのか。一度会って全て聞きたいと。
「…色々急に話して悪かったな。明日は一回ロビー業務やってくれ。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
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