第202話 皇帝ルシーセ

白い虎のホワタに乗ったら1時間で帝都に着いた。

乗る場所は改良が必要だ、それでもホワタの移動スピードはこれから先も重要になりそうだ。


『清水さんは異世界に憧れてたんですよね、多分俺の行動や色々な事を見て失望すると思う、それでも助けて貰えると嬉しい、いや見てから決めていい』


清水さん

「佐藤さんどうしたんですか?私も大変な世界だと分かってますから頑張ります!」


清水さんの大変がドラゴンを倒すとか、そういうのを想像しているなら心折れないといいが。


ルーガ帝国の帝都タミンスに着いて驚いたのが、ルシーセさんが皇帝に即位していた。

それも皇帝がルシーセさんを次の皇帝に指名して、皇帝自身はその後に怪我の悪化で死亡したらしい。

帝都に居た皇帝直属の兵団3万人の前で、皇帝が「次期皇帝にはルシーセを」と発言したので、帝都はルシーセさんの指揮下にすんなり入ったそうだ。


ルシーセさんの部下が言った、皇帝と帝都の兵団が東の砦に移動したのは、やっぱり嘘だったか。

あれだけの拷問に真実を最後まで言わず、嘘を貫き通すとは凄い男だった。


俺がルシーセさんへ会いに行くと、すんなりと通された。

ルシーセさん

「アイス様のお陰で皇帝になれました、これから一緒にラグナロクに備えて共に戦いましょう」


皇帝になってもルシーセさんは、俺に対して慇懃な態度を崩さなかった。

俺はルシーセさんの部下が俺に嘘の情報を教えた事を話したら、驚いて謝られた。

他にも色々と聞きたい事もあったが、ルシーセさんの方から話があって、帝都は支配下に治められたけど帝都以外は地方に居る皇子、地方の貴族、各地の軍人は、皇帝から後継者に指名されたルシーセさんを、誰も認めないで暴れているそうだ。


ルシーセさん

「先ずは物資の確保と輸送ルート確保を優先しましょう、アイス国の兵士が占領しようとした貯蔵場所は26ヶ所ですが、8ヶ所しか占領出来ていません」

「帝都に居る兵団3万人は、今は私の指揮に従っていますが、まだ混乱している帝都から全て動かすのは難しいです」

「1万だけ援護に派遣しますが、他の援軍はアイス様にお願い出来ますでしょうか?」


『残り18ヶ所ですよね、最も苦戦している場所から順番に全部俺が行きます』

『近い遠い関係無く、危ない場所からの地図を下さい』


ルシーセさん

「1番苦戦していると報告が来ているのは、帝都から東南300km先にある砦ですが、次に苦戦している場所は帝都から西に200km離れた城塞都市です」

「苦戦している順番から助けに行くのは効率が悪いので、帝都近くから援軍へ行くのが、よろしいかと思います」


『移動は何とかするので、急いで地図を下さい』


俺は今わかっている情報を貰い、まだ耐えられる味方は後回しに、敵の援軍が増えている崩れそうな味方を助けに向かう。

王宮と、その周辺は俺が全て破壊してしまったので兵舎が臨時の王宮代わりになっている。

兵舎近くにある訓練所の大きな建物の中で待っていた、清水さんとホワタの所へ行く。


『清水さん、ホワタに乗せて貰えますか、味方を助けに行きたいので暫く移動ばかりになりますがお願いします』


俺がお願いすると、事情を説明する前に清水さんは

「行きますよ!味方を助けに行きましょ!」


移動しながら事情を説明する事にする、食料と清水さんの衣服だけ積んで急いで出発する。



ホワタの上のオリハルコンの箱に居たら清水さんは安全だろうけど、俺の殺しを見て清水さんの心が壊れないかどうかだけ心配だ。


ホワタと2人きりの生活から、これから移動と俺が殺しをする所を見る生活に激変する。

清水さんとホワタは、俺にとって今まであった移動時間の足枷が無くなる有り難い1人と1匹だ。


なるべく全てを話そうと思う。

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