第199話 白虎
村で聞いた帝都タミンスへの近道は、春の様な気候で雪が無くなって馬もスピードを出せる様になってきた。
『無理しないで良いからな』
馬の首筋を撫でながら、回復魔法を使う。
馬の状態を見て、時々休憩を挟む。
白い虎以外の魔物は居ないのかな?
魔物とは全く遭遇しないで、春の道を通る。
夜でも星空がしっかり見えるので、道にも迷わないな。
2時間だけ仮眠して、また夜中も移動する。
2日目も何もなく移動している。
距離は分からないけど、体感だとかなり順調に進めているから5日も掛からなそうだ。
3日目も順調な移動だったが、??なんだか辺りが霧に包まれてきた。
霧が濃くなって10メートル先も見えない。
もし虎に襲われたら馬が危険なので、オリハルコンの家に馬を入れて、俺は外で霧が晴れるまで待つ。
音もしないのに、魔物が近づいて来ているのが何となく分かる。
もっと無造作に襲ってくると思ったけど、めっちゃ此方を警戒しているな。
地下室で襲って来た亀とか一直線に来るだけだったのに。
30分以上も襲ってこない。
強い魔物の癖に慎重過ぎるだろ(笑)
『伝説の魔物だろ!?こっちは分からないんだからさ先に襲ってこいよ!(笑)』
思わず日本語で挑発した。
グルゥゥゥ、、
魔物が喉を鳴らす音が聞こえて霧が晴れてきた。
戦わないのかな?何となく警戒を解いた気がする。
「あの、日本人でしょうか?私も日本人です」
話し掛けてきたのは制服を着ている、高校生ぐらいの子だった。
『日本人です、佐藤氷と言います。魔物かと思ったら日本人だったのか』
女の子
「いえ魔物は居ます、ホワタ大丈夫よ」
デカい、大きさはダンプカーと同じくらいか、象よりも一回りも大きい白い虎が、女の子の横に飛んで来た。
俺の知ってる四聖獣と目が違うな、もっと俺の知ってる四聖獣は血走った目で殺意があった。
この虎の大きさは桁違いだけど、目は人に慣れた飼い猫みたいだ。
女の子
「ホワタを見ても驚かない人は初めてです、おじさんは日本人ですよね?」
女の子の見た目は普通だ。
初めは眼鏡をかけていたが、俺が回復魔法で目を治したら喜んで眼鏡を外した。
何処にでも居そうな女子高生だ。
失礼な言い方だと美人か、美人じゃ無いかと言われたら平均より下かもしれない。
あくまで俺の判断でだけど、俺も容姿の事を言える方じゃ無いし、可愛らしい女子高生かもな。
女の子
「私の名前は清水奈々です、やっぱり此処って異世界なんですね」
清水さんは半年以上前に、今が2月だから多分10か月近く異世界を1人で生きてきたみたいだ。
異世界に来てから1人の日本人と2人の異世界人にそれまで会ったが、余り良い出会いじゃ無かったみたいだ。
深くは聞かなかった。
清水さんは異世界に転移して、次の日に白い虎のホワタと出会ったそうだ。
ホワタはホワイトタイガーの略で、この虎の名前だ。
清水さんは特殊なスキルを持っていた。
年齢は16歳
スキル欄には
魔物支配
魔物会話
願いの種
白い虎を支配してるのか、魔力が低い段階で支配できるなら強力なスキルだな。
魔物と会話する事が出来るのも、異世界に来て初めて知るスキルだけど凄いスキルだ。
願いの種スキルは確か、今は日本へ帰るダンジョンで暮らしているカレンも持っていたな、使い方が謎のスキルだ。
清水さんはホワタのお陰で異世界を1人で生きられたと言っている。
四聖獣かどうか確認したいから殺したいけど、四聖獣じゃ無かったら彼女の希望を無くす事になるな。
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