第162話 砦の建設

俺はヴァルガ王を殺すのは決めてたけど、山口さんや他の人から殺した後は王になって欲しいと言われている。


話を聞くと確かに日本人の誰かがシャルパック国を支配しないと、分散して生活してる日本人が酷い目に遭いそうだ。

だけど、王を殺して日本人が国を統治するって難しくないか?言語も文化も違う転移者に従うもんだろうか。


俺はマンジュウさんだけは先に助けて欲しいとお願いしたら、山口さんや他の人も賛同してくれて索敵スキル持ちの人以外はシャルパックの首都へ向かって行った。


索敵スキル持ちの人

「シャルパックの首都から10kmの地点なのに、落ち着いて待ってられるな」

「コーヒーとかあれば最高なんだがな」


首都から10km地点に城壁の高さが20mでサッカーコート半分程の広さがある、オリハルコンの砦を2時間で造ったら色々とスキルについて聞かれたが、曖昧に返事をして答えなかった。


シャルパック国の事に対して俺は何も良い案が出せなかったので、暫くは山口さん達の意見で行動しようと思ってる。


砦は拡張できるので奴隷にされてる日本人を、砦に全員収容は出来るけど食料の問題があるから、全面戦争になったら引き篭もる訳にもいかない。

俺が食料を探しにいけば砦は落ちちゃうだろうし、俺以外が食料を外へ取りに行くのも難しいか。


ヴァルガ王を殺すだけなら、今の魔力だったら簡単だと思う。

王を殺してもシャルパックの国民を従わせるのは俺の考えだと無理そうだけど、山口さんはどうやって解決するつもりなんだろう。


索敵スキル持ちの人

「シャルパック兵と思う、馬に乗った人間が50人近くこっちに来てるな」

この人の索敵範囲は150mあるから、もう城壁の上から見たら居そうだ。


俺は城壁に備え付けてある階段を登って城壁の上から周囲を見渡した。

矢が何本か俺に向かって飛んできた。

反射スキルで弾いたけど、俺が顔を出して周囲を見てから撃ってくるまでが早過ぎでしょ。


城壁の外側へ飛び降りて、着地は失敗したけど痛くは無いから、そのままシャルパック兵士に向かって炎の玉を飛ばす。

馬に乗った兵士は散開して避けようとするが、一気に何千発もの炎の玉を周辺へ飛ばして、逃げる場所さえ無くす。

炎の玉は100mほど勢いよく飛んで、落ちた後は半径5mぐらいの周囲が激しく燃焼する。


30秒ぐらいで50人は居た騎兵全員死亡したようだ。

いつもだけど、水魔法を使って燃やした後の消火処理の方で時間が掛かる。


索敵スキル持ちの人

「聞くのと見るのじゃ違うね、恐ろしい魔法だな、、、佐藤さん、あれだけ使って魔力は尽きないの?」


『魔力が尽きた事はまだ無いですね』


「尽きた事が無いんですか、、、凄いですね」


それから索敵の人の態度と話し方が、少し変わった気がする。


その後に3度もシャルパック兵が、俺達の砦に襲って来た。

敵兵の数は多くなっていったが、俺の魔力もどんどん増えていったので対処は楽になっていった。

4度目の攻撃で、流石に周辺の様子を見て近付くと炎で死ぬと分かったのか、近付かず遠くで待機して馬では突撃して来なかった。


『ちょっと遠過ぎますね、夜になったら近付けると思うので外に出て殺してきます』


夜になって、200m離れた距離から炎の玉を飛ばして待機してたシャルパック兵をかなり焼き殺した。

半分ぐらい逃げたかな、次はもっと離れてこちらを偵察するだろうな。


次の日の夜更けに山口さん達が戻ってきた。


山口さん

「佐藤さんの砦が出現したシャルパック国は大混乱です」

「寺田萬寿さんは見つけましたが、酷い状態です」


マンジュウさんは俺よりも酷い扱いを受けてた。全身で痛めつけられていない箇所が無いほど傷だらけで生きてるのが奇跡かもしれない。


俺は回復魔法をマンジュウさんに使う。

マンジュウさん

「アイスさん、、、異世界は厳しいね」

治ったマンジュウさんは気絶したように寝ている。


山口さん

「シャルパックの主力が出陣の準備をしてました」

「明日には砦にヴァルガ王が来るでしょう」

「昨日今日で色々な情報がシャルパック側に流れてます、突如現れた砦と一瞬で火の海になる草原」



山口さんが言うには、恐怖で全てを従わせる役目、王というより、俺には魔王になって欲しいそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る