第134話 拘束
転移者が作った家で食事をしてたら頭を殴られて気絶したみたいだ。
起きると暗闇の中で身体全体を何かで固められて身動き出来ない。
家を作った転移者が使った土魔法で固められてる?
頭がズキズキと痛いけど、手を固定されてるから頭に回復魔法を使えない。
口は何も拘束されて無かったので
『センベーさん、マンジュウさんいますか?』
静かに呼んでみても、此処には俺だけしか居ないみたいだ。
勝手に貴重な食料を食べたら怒るよな、そりゃ。
とりあえず此処に住んでる転移者が来たら謝ろう。
殺さないで拘束する人だから話し合いはできると思う。
此処どこだろう。
微かに風の音や木の揺れる音がする。
頭の痛みだけは早く治したい、手足は動かせないから待つしかないか。
火魔法は使ったら俺が火傷するし、土を消せると思えないし、他の転移者に警戒されちゃう。
かなりの時間が経ってるんだろうけど、お腹の減り具合から1日は経ってないのかな。
上にある扉が開いて蝋燭を持った、10代後半か20代前半ぐらいの男性2人が降りて来た。
ここは地下牢か、外はもう夜になってるみたいだ。
「佐藤氷だな」
「まったく俺達の貴重な塩と胡椒を殆ど使い切って、畑へ植える為に用意したジャガイモまで全部食べやがって」
「他の2人は魔力は低いがスキルを持ってたけど、コイツは魔力1でスキル無しの47の中年オヤジだ」
「佐藤さんよ、あんた日本で身に付けた特技や技術を何か持ってるか?」
俺は異世界で役立ちそうな技術を何も持ってない事と、資格は普通自動車免許だけしか持ってないと伝えた。
魔力の数値まで分かるなら鑑定より詳細が分かるスキルを持ってるのか。
鑑定情報改竄スキルで俺のスキルは全部見えなくしてるけど、それは見破れないみたいだな。
「あんた達も2週間前ぐらいに転移してきたんだろ?」
「こっちは有能なスキルを持ってる仲間がいるけど、余裕はそんなに無い」
「貴重な食べ物を食べたのは許せないが、今回だけは解放するよ、次は無いからな」
「あなたの仲間が持ってるリスタート1ってスキルは、どんなのか知らないんだよな?」
「レアスキルっぽいけど調べてもスキル詳細が分からん、持ってる奴も分からないとしか言わないしな」
他の人と離れて暮らして、食料を自分で獲るなら仲間にしてもいいと2人に言ったそうだ。
だけど2人は拒否したそうだ。
俺も拒否する。
オリハルコンの食器や棍棒の事を聞かれたけど、途中で拾ったと説明したら、2人も同じように言ったそうだ。
朝になって俺達3人は解放された。
転移して此処で生活してる人達は全部で8人居た。
全員10代20代の若い男女だった。
「ここに戻って来て食料を勝手に食べるようなら、次は容赦しないから」
「俺達のスキルはあんた達より強力だ」
最後に凄く大事な事を教えてくれた。
「ここから何十キロも東の方へ行くと現地の人間が居るけど人攫いをしてる」
「私達も攫われそうになって逃げたのよ」
「20人は居たから気を付けろ」
詳細を聞いたら、もしかすると他の捕まった転移者も居るかもしれないと聞かされた。
魔物を狩ってレベルを上げたら東へ行って、他の転移者を助けるつもりらしい。
他の転移者で有能なスキルを持ってる人や、貴重な食料を大量に見つけられたら、部屋も提供する仲間に受け入れると言われた。
再度、腹が減ったからと近付いたら次は容赦しないぞと、忠告されて追い出された。
何も情報を渡さないで去ろうと思ったが、思ったよりも悪い人達じゃ無いかもしれない。
オッサン3人を警戒するのは悪い事じゃないと思う。
勝手に部屋へ入って食ったのに解放してくれただけ良い奴らだ。
最悪殺されても、異世界じゃ当たり前だし。
離れる時にボソッと喋る
『此処は冬になったら物凄く寒くなりますよ、もし耐えられそうに無かったら東南東に3週間も歩くと村があります』
何で知ってるのか聞き返されたけど、そのまま喋らないで離れた。
センベーさん
「人攫いってシャルパック国の兵士がやってるのかな?」
『姿を見ないと判断出来ないけど、もし金の為とかで人攫いをしてる犯罪者なら、見つけて魔力を上げる為に殺そうと思う』
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