第117話 セーフティーゾーン
日本へ帰る最終試練場にはセーフティーゾーンと言われる、魔物の入れない場所があるらしい。
此処で出会った真田さんが俺をそこまで案内してくれるそうだ。
真田さん
「佐藤さんの強さも見たいからゴブリンとオークは任せても良いかい?」
「強い魔物は俺が倒すよ」
『分かりました任せて下さい』
と言ったものの、真田さんが走り出すと俺は全く付いて行けなかった。
息切れは回復魔法で治せても身体能力が違い過ぎて、一瞬で置き去りにされてしまう。
真田さんは初めは俺を強者と見てくれていたのが、こいつはダメだなと判断されたのが雰囲気で分かった。
「佐藤さんはもう少し強くなるまで、普段はセーフティーゾーンの近くから離れない方がいいよ」
真田さんはレベルが上がると身体能力も向上すると思っているけど、俺の経験だと人を殺して強くなるのは魔力だけで、筋力強化スキルの無い人は日本に居た時と変わらない動きしか出来ない。ちょっと違うんだよな。
下に見られて居たほうが良いかなと思い、魔法は抑えて使った。
ゴブリンを倒す時も本当に弱い威力で2回、火の玉を当てて倒した。
2時間ほど俺の足で走ったら、違和感のある建物が見えた。
鉄筋コンクリート作りの三階建で、学校の校舎のような建造物が其処にはあった。
真田さん
「ファンタジーに日本の建物があるから変だろ?」
「ここの中には魔物が入って来られないし建物も壊れない、危険な魔物は入口付近まで連れてきて中から倒すと効率いいよ」
俺は魔物を倒しても意味無いはずだけど、此処なら成長するのかな?
中には30人ぐらいが住んでいた。
中に入って色々と驚きがあった、電気や水道が通っていたし。
部屋もちゃんと個室があってベッドと机と椅子、クローゼットが設置してある、風呂とトイレも完備してあった。
個室の風呂とは別に、大浴場みたいな所があって温泉にも入れるらしい。
雑貨が置いてある部屋もあって日本の服やシャンプー、石鹸、歯ブラシ等の生活品が何でも手に入る。
食堂はブッフェ形式で美味しそうだ、日本で食べられる、あらゆる食事が24時間提供されていた。
この建物は無人だけど、掃除も備品補充もいつの間にかされてるそうだ。
ダンジョンボスを倒さなくても一生ここに引き篭もれるな。
聞いたらダンジョンボス討伐を諦めて、この建物で生活してるだけの人が9割以上らしい。
食事は食べたら美味しかった。
焼肉やラーメンを食べて、新鮮な寿司なんて何年振りに食べたろう。
大食いじゃない俺も、腹がパンパンになるまで箸が止まらなかった。
ここって働かなくてもいいし、天国なんじゃ?
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