第106話 カレンさん

カレンさんを治して長山さん達から逃げるのには成功した。

ナチャチャさんが持って来たノートパソコンとタブレットには現地の地図が入っているけど、

誰も測量が出来ないので現在の正確な位置が分からない。


大体の位置は分かっているから、西に行ってシャーザ国を超えて俺達が戦った6カ国以外へ行く。

今いるテンケイ国から西へ向かうと、初めて南の大陸へ上陸した場所があるシャーザ国、もっと西に行くと別の戦った国があり、更に西へ行けば多分知らない国に着くはず。


現地で日本人を探さないと、会えれば意思疎通出来る。

俺達5人は南の大陸の言葉を誰も喋れない。


ナチャチャさんの彼女のセシャさんはプロトマト語しか喋れないので、ナチャチャさんとしか会話できない。

俺はセシャさんとは、ナチャチャさんを通して通訳して貰って、会話はした事あるが2人で会話は出来ない。

ナチャチャさんはルーガ語も日本語も、流暢に喋れるようになっているから会話の問題は無い。


夜に逃げ出して朝になりセンベーさんが走り続けて山の中に入り、夕方になったので今晩はここで一泊して、また移動しようとなった。

センベーさんが大きく穴を掘って、俺が其処にオリハルコンの四角い家を造る。

その上にセンベーさんが土をまた被せてカモフラージュしたら、地下の部屋は上手く隠せている。

魔物からは襲われないはず、索敵スキルを使われると多分バレるが、バレて攻撃されたら殺せばいい。


今のセンベーさんの体力は物凄い。

筋力強化だけなら、俺が出会った職業持ちの強い人達よりあるかも。

その代わり食事の量も凄い、レトルトのカレーライスを20杯ぐらい食べている。

お腹の膨れ方と食べる量が比例してないような。



カレンさんは日本語と少しのネスカ語しか喋れない。

食事を摂ってゆっくり休んで貰ったら喋れるぐらいには元気になったようだ。

まだ走ったりは無理だけど。正直こんな綺麗な人と話すだけでドキドキする。


カレンさんは異世界に転移して、長山さんと一緒のネスカ国で初めは暮らして居たそうだ。

最初にネスカ国に居た時の長山さんは、とても穏やかで優しい人だったと、今も表面上は紳士だと思う。


長山さんの元々のスキルはコピーらしい、一緒に転移して来た皆んなのスキルをコピーして使って、現地の人や魔物から皆んなを守ってくれたそうだ。

ネスカ国で貴族になった辺りから残虐性が見える様になったそうだ。

それでも皆んなのリーダーとして街の領主として、慕われては居た。


カレンさんのスキルは1人では何も出来なかったけど、長山さんがコピーして使うと、長山さんはスキルを3つまでコピー出来るようになったみたいだ。

2人は恋人同士になっていたけど、長山さんがプロトマト国に行って戻って来た辺りから、関係がギクシャクしてしまったそうだ。

戻って来た長山さんは歯向かう人には容赦無く、拷問や処刑をするようになった。


ある日、急に街の住民を集めてジャガイモ村へ行くと言い強制的に移住させたそうだ。

あれ?シャルパック国が攻めて来て逃げて来たんじゃ??


ジャガイモ村へ来て暫くしたら、カレンさんは手足を切られ目を抉られて舌を切り取られ、動けないようにされたみたいだ。

その状態だとカレンさんはスキルを使えないよね?

長山さんはカレンさんのスキルをコピーして続けて使えた?



カレンさんが言うには長山さんの1番の目的は、地球にスキルを使えるままで戻る事らしい。

スキルを地球に持って帰る?

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