第101話 悪夢の太陽

味方は戦場の盆地から出られる山道が1.5メートルも無いので、我先に逃げようとしているけど、出口で溜まってしまっている。

敵兵士をこれ以上行かせると溜まった味方兵士が逃げ場も無く囲まれて殺される。



目の前には見渡す限りの敵兵士が、目を血走らせて俺に向かって来たり、俺をスルーして奥の逃げている味方兵士を追おうとしていた。


一切の手加減も必要無いので、魔力の全力で俺の後ろから敵兵士と味方兵士を分断するオリハルコンの壁を造っていく。

オリハルコンの壁は高さ70メートルで俺と敵兵士を盆地の中に閉じ込めるように囲っていく。

何十万人という敵兵士が集まっていたけど彼等は、オリハルコンの高い壁に15分ぐらいで閉じ込められてしまった。


1番遠くに見える数キロ先の敵後方をオリハルコン壁で囲ったのを確認して壁造りを終えた。

逃げた人も少し居ただろうけど、密集した敵兵士は殆ど壁の中に閉じ込めた。



俺がオリハルコンの壁を造ってる間に敵兵士は、壁を造っているのが俺だと分かって一斉に襲って来た。


剣や魔法では反射スキルで全くダメージが無い。

爆弾を仕掛けてきた人が居たけど爆発したら俺の反射スキルで、更に爆発が増幅されて周囲の敵兵士は肉塊になってしまった。


敵兵士が戸惑っていると剣聖と拳神が俺の前にやって来た。

思ってたより若い子だった見た目は高校生ぐらいだな。


剣聖さん

「見た目は冴えないオッサンなのにアンタは神なのか?答えろよクソジジイ」


拳神さん

「転移日本人だろう、だけど壁をこれだけ出せるんだ魔力は相当すげぇぞ、殺したら魔力が増えるぜ」


俺は壁造りに集中していたので、無視していたら2人はキレて攻撃を仕掛けて来た。

反射スキルに当たった時の音が凄かったので、今までで1番凄い攻撃だったかもしれない。

2人とも自分のした攻撃の反射ダメージで、両腕が無くなっていた。


直ぐに近くにいた人が2人に回復魔法をして両腕を元に戻した。

聖女以外でも簡単に治す人が居るんだな。

此方の軍は俺以外で腕を再生させる回復魔法を使える人は居ないのに。


治ったけど2人は、もう攻撃して来なかった。

王族と思う人達が俺の前に来て、

「今直ぐ壁を消すのだ」


「停戦に応じよう、其方達の条件を言うが良い」


「聞いておるのか?無礼者」

俺は壁造りに集中していたので無視していた。


拳神さん

「おいっ、攻撃は跳ね返される、チャーム系の魔法じゃないと無理だぜ」


壁を造っていたらセクシーな衣装の綺麗な女性が近づいて来た。

無視していたら俺に触れて顔を近づけてキスしてきた。

流石に驚いた、反射スキルが邪魔して女性の唇の感触は分からなかったけど、いきなりのキスはドキドキする。

多分何かしらの攻撃だったんだろう、女性はキスしたと同時に、発狂して叫び回り何か喋りながら泡を吹いて倒れた。


少しの間だけ敵軍の動きが止まったけど、それからは壁を完成させる間はずっと此方を攻撃してきた。


俺と敵兵士を囲う壁が完成した時には反射スキルで千人以上の敵兵士が死んでいた。


壁が完成したので丸い炎の玉を敵陣の中央や周りに幾つも出す。

俺が出せる最高温度の炎の玉から周囲の敵兵士が、パンっと音を出しながら破裂して溶けて蒸発していく。

壁の内側はみるみる温度が上昇している。

魔力で防いでいる人もいるけど、何十万という人が俺の出した偽太陽に焼かれて、何か分からないまま死んでいる。


数分で、ほぼ敵兵士は全滅したと思うけど、10分ほど偽太陽を出し続けた。


オリハルコン合金で作られた壁が少しだけ溶けていた。

この金属も俺が溶かす以外で、高い温度でも溶けるんだな。


偽太陽を消しても熱そうなので、水魔法を使い壁の中を冷却していく。

元は人間だった物が辺り一面に広がっているけど、水分は蒸発し切っていて冷やされた後は黒い地面としか見えない。


オリハルコンの壁を消すのにも時間が掛かりそうだから、面倒なので出入りする場所だけ消して後は残す。


オリハルコンの壁が熱くなっていたのか皆んなは、かなり後方に下がり切っていた。


『奥に居た一部の敵兵士には逃げられましたが、後は殺しました』


長山さん

「佐藤さん、ありがとうございます」


長山さんは和やかに、他の皆んなは驚くよりも放心状態な感じだ。


まだまだ何百万人が襲ってきても殺せるぐらい俺は元気だ。

次の国へ行くなら早く出発しよう。

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