第77話 揺れる波
南の大陸へ向かう船は大きいけれど乗っている人数が多過ぎて、何処も人でいっぱいだ。
おまけに出航したのが真冬の海なので、波が想像以上に凄くて船内の揺れは、船に初めて乗る人には地獄だと思う。
俺とセンベーさんとナチャチャさんは、もっと揺れていた船に半年近く居た経験があるので多少大丈夫だ。
それでも揺れで数日間は酔った。
俺は物理攻撃反射スキルを使ってる、起きてる時は酔わないけど寝ると酔う。
何日かしたら寝ても酔わなくなった。
船酔いを治す回復魔法をして欲しいと沢山の人が来るけれど、キリが無いので酔い止め薬を配って後は慣れて貰うしかない。
トイレと言わず船内何処でも皆んな吐くので、船はゲロ臭くなっている。
衛生的に良くないから、そこらじゅうで吐くのを禁止になっても揺れが収まらないので、初めて船に乗る人は吐くのを止められない。
そんなゲロ臭い船なのに乗ってる人数が多いせいでパーソナルスペースを確保出来ないから、喧嘩が絶えない。
乗っているのは最後まで魔物と戦っていた人達で荒々しい人が多く、男女比も9対1と偏りが酷い。
喧嘩は止めても止まらないよね。
俺の所へ喧嘩で怪我をして回復魔法のお願いしてくる人は、お断りして自力で治して貰ってる。
そういう人は治しても直ぐにまた喧嘩で怪我するから、怪我して大人しくなって貰う。
この1年間ずっと魔物と戦ったり、荒くれ者を相手にしてたから、怒鳴られても脅されても、
ビビらなくなったよね。
色々な事が重なって船中は最悪の雰囲気だ。
長山さん達と相談して船の拡張を予定しているが、船の上から海に浮かんでいる船を拡張するのは難しくバランスも重要だ。
木材と違ってオリハルコンは比重が重く、間違った拡張をすると揺れが激しくなって船内に水が侵入して沈没もあり得る。
長山さん
「こちらで船の拡張の計算をするので、佐藤さんは暫く待っていて下さい」
基本は皆んな大部屋で寝泊まりしてるけど、俺とセンベーさんとナチャチャさんは個室を用意して貰ってる。
俺が個室のベッドで寝っ転がってると、ナチャチャさんが相談があると部屋にやって来た。
最近のナチャチャさんは顔付きが大人っぽくなった。背も少しだけ伸びてるのかな。
ナチャチャさんから聞く内容は憶測じゃなく、疑問に思って調査してからの相談だった。
ナチャチャさん
「長山さん達はダンジョンコアを破壊すると、増殖するのを知っていてアイスさんに破壊させたと思う」
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