第53話 魔王

話を聞いた俺達4人は暫く何も会話が出来なかった。


シャーマンさんが

「魔王と魔族に加担した異世界人が居て、そいつらだけが生き残れたのさ」

「私達は全員魔族に魂を売った罪人の子孫なんだ」


猫人族の人はジャガイモ村がどうなったかは、知らなかったけど凄い魔法使いが多い村で有名になってたみたいだ。

俺が出した物資を感謝してくれたけど、警戒をしたまま離れた場所でキャンプを張って明後日には、もっと西に移動すると言っていた。


俺達も今日は地下室に移動しないで、ここで一晩を明かそうとなった。

ちょっと空気が重かったけど、センベーさんが


「アイスさん家を作る時は鐘みたいな形は止めてくださいね、外から叩かれると響きます」


またトロールが出て来たら嫌だもんね。

俺は建物に防御は低くなるけど、オリハルコンで網戸のような形を生成して窓を作り網戸を貼り付けた。

窓に蓋を作って夜になって寒くなったら閉じよう。


それ以外の会話はほぼ無かった。

4人とも昼にシャーマンさんから聞いた魔王の話が想像した通りなら、と思って口に出せなかった。

誰も喋らず食事をして、部屋の端に作ったシャワー室でタライに入ったお湯を浴びて身体を洗った。


夜には、それぞれの寝袋に入って寝た。


夜中に目を瞑りながら考えていた。


アケミさん

「皆んな起きてるよね」


皆んなやっぱり寝てないのか返事をした。

寝袋の中で皆んなと話をした。

俺達は魔族かも、ナチャチャさんは魔族に加担する異世界人になるのか、

この世界の人達を全員殺すまで地球に帰れないのか、

皆んなが気にして言わないでくれたけど、


『もしかして俺は魔王なのかな?』


暫く誰も答えなかった。


センベーさん

「話す時に目も合わせないで、オドオドした魔王が居ると思えないです」


ナチャチャさん

「アイスさん女子供を殺せると思えないよ」


アケミさん

「魔王とか分からないわ、でも世界中の人を殺さないと地球に戻れないと言うんじゃ、私は地球になんか帰らないわ」


もっと魔王についての情報を集めないといけないな。

明日は早めに起きて地下室に行こうと、皆んなで決めて寝る事にする。


『俺は3人を守る為に戦う覚悟は出来ています、でも人はなるべく殺したくない』

『もし危なくなったら4人で逃げようと思っています』


ちょっと寝袋の中で笑われた気がしたけど、空気は柔らかくなった気がする。

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