第52話 誤解
なるほど、そりゃそうだよね。
あの魔物がトロールなのか、沢山の人が攻撃して倒したのに横に居る男が無傷なの、俺だって見たら怖いよ。
どう説明しよう、
俺以外が持ってないスキルを話しても警戒は解けないよな。
これ相手が日本人なら異世界転移のボーナスで貰ったチートスキルです、と言って話は終わるけど。
「神の使いか?」
いや違います、その誤解は危険だと思う。
『違います、魔法を持っていて、攻撃が効きにくいだけです』
オリハルコンの家の中で3人が待ってるのに、
早く誤解を解いて、
出来れば猫人族から情報を聞きたいのに。
もう1人、豪華な服の偉そうな猫人族が聞いてきた、
「ジャガイモ国の人間か?」
『そうです!ジャガイモ国に住んでいましたが、スタンピードでここに逃げて来ました』
もっと警戒された雰囲気になったな。
「戦いたくない、トロールは貰うが、ここから直ぐに去る」
初めに話し掛けてきた猫人族の人が言ってきたけど、俺は情報を知りたかったので、
何度も俺も戦いたく無い、話がしたい、と言い続けた。
実際はお互いにカタコトで俺のルーガ語はアケミさんやナチャチャさんより酷いから、伝わりきれて無いのかもしれない。
相手は襲って来なそうだったので、オリハルコンの家を消して3人にも会話に入って貰おうとした。
家を一瞬で消したのを見た猫人族は、もっともっと警戒してきた。
3人は周りに沢山の猫人族が居たので驚いたが、
事情を説明して話し合いに参加して貰った。
3人ともスタンピード後の話を猫人族から聞きたいと思ってくれて必死に喋ってくれた。
アケミさんが猫人族の様子を見て、食料や物資が不足してるんじゃないかと話し掛けて、
物と交換に情報を提供して貰えるように交渉してくれた。
俺は食料や水、欲しいと言われた物資を通販スキルで出していった。
明らかに猫人族の人達は俺を人間じゃない何か、みたいな目で見てるけど、お腹を空かせてる子供や女性を目の前に、
スキルを出し惜しむ気にはならなかった。
警戒は凄くされてるけど、想像以上の物を渡したのでルーガ語を喋れる人が何でも答えてくれるらしい。
この大陸の北側は広大な魔物の森が広がっていて異世界人は南側だけに住んでいる。
ジャガイモ村があった西の方は環境が厳しく住んでる人は少ない、東は沢山の国が有り栄えていたが、
ある日、北から魔物が一斉に襲ってきて何処の国も大変な目にあっている。
一部の国は魔物の撃退に成功したが、他国の難民までは受け入れて無いので逃げる場所は少ないらしい。
遥か南に海を隔てて別の大陸があり、猫人族は港を回って海を渡る船を探している。
部族全員で移住を計画してるけど、受け入れてくれる国が無く西にどんどん移動してるそうだ。
猫人族のシャーマンみたいな人が、もしかすると魔王が復活したのかもしれないと言っていた。
物凄く昔に魔王が復活して一度、異世界は滅びかけた歴史があるらしい。
やっぱり異世界では魔王とか居るのか。
話の初めの方では俺とセンベーさんで魔王という話に、倒さないといけないか、と思っていた。
だけど、話の途中から何を目指せばいいのか分からなくなった。
シャーマンさんが話の最後の方で、
魔王と魔族は魔法とは違うスキルのような力を持ち異世界人を殺す度に強くなる。
見た目は人間と変わらないが、歳を取らず異世界人を圧倒する力と知識を持っている。
魔王と配下の魔族は、大陸中の異世界の人達を殺し尽くすとゲートが開き、別の世界へ転移して行った。
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