『ジラ! 執行ワールド』
やましん(テンパー)
『ジラ! 執行ワールド』 序夜
『これは、フィクションであり、われらの地球とは、関係ありません。』
ジラは、処刑惑星である。
つまり、地球の死刑囚ばかりが収容されているのだ。
現状、常時、約千人が収監されている。
これが、適正収容数である。
毎日、新しい囚人が、50人はやって来る。
だから、この分は、毎日処刑されなければならない。
そのやり方は、千差万別であり、あまり、文書公開はできないが、地球中世期の拷問や処刑方をかなり援用しているとされている。
たとえば、身体の手足に丈夫なヒモを結びつけて、そのすべての端っこには、元気な猛牛をつなぐ。いち、に、さん、で、それぞれを別の方向に向かって突進させる。
古典的な水責めも、良く行われる。
こうしたものは、すべて、原則公開されていて、しかも、それは、有料で、地球からは、豪華な『処刑見学』ツアーが組まれる。
だから、『ジラ』には、最高級ホテルから、わりにリーゾナブルなホテルまでがしっかり揃っているし、あらゆる種類のレストラン、美しい歓楽街、コンサートホール、ビーチ、ギャンブル場、などが完備してあり、毎晩賑わっている。
で、地球市民は、最低、10年に一回は、ここの見学に参加しなければならないし、その権利がある。
各自の財力にあわせて、貯蓄制度があり、都市型ツアーや、地方の村ごとの『講』が組まれたりもする。
地球政府には、善良な地球市民が、この、惑星『ジラ』の、正しき見学が、できるように、支援する義務がある。
もちろん、十分余裕があれば、単独渡航も可能であるし、自家用宇宙船で、毎年やって来る、リッチな常連さんもある。
たまに、いや、しばしば、有名な地球首相や、大臣、副大臣、地球議員さんや、さらに、地方の議員さんたち、さらに、財界の有力者さんなど、に出くわすこともある。
ジラ参りは、まさしく、地球における、『正しい人生』の、花であった。
また、高校三年生には、これが必須教科になっていて、単位をとらないと、卒業ができない。人生最初の『見学』コースである。
また、各種の事情があり、進学しなかった人には、それなりの、見学コースが、きちんと、用意される。
きわめて、公平なのだ。
また、『地球首都大学』には『処刑惑星学部、各専門学科』がある。これは、地球最高レベルの学府であり、ここに入ることは最高の名誉であり、卒業したら、『惑星処刑省』に入り、やがては、地球を支配することができるようになる。
政治家や官僚のエリートコースと並ぶ、出世の王道である。
だから、処刑官は、最大人気の職業であり、また、尊敬もされていた。
処刑惑星『ジラ』は、権力というものの、あらゆる意味での、発現の場所なのである。
第一夜につづく…………
続くかな、どうか?🐧?な。
作者は、前立腺を取ってしまったので、毎日、じらじらしながら、お手洗いに、ひたすら駆け込む日々なのである。ジラシッコワールドなのだ。
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