第5話 不安
その日の夕方───
ロキは昨夜会った彼女の事を考えながら横になっていたが、いつの間にか寝てしまっていた。
「……フアー!?おはようカイ、サイ」
「おはようって……もう夕方だぞロキ」
「そうですよ、ロキ隊長」
ロキの間の抜けた挨拶に呆れ混じりに二人が言う。
「そんなに寝てたのか?」
「もうスヤスヤと気持ち良さそうに寝てたね」
「お昼に声をかけたけど、全然起きる気配もありませんでしたね」
「それはごめん、ありがとな」
二人に起こされていたみたいだか、一向に目覚める気配のなかったロキは、少しバツが悪そうにして答えた。
「なら、もう夕食時なのか?行かなくて良かったのか?」
「自分たちも今から向かおうとしてたところだから、一緒に行こうか?」
「そうだな」
カイの返答に答え、外に出たらちょうどライ達が帰ってきていたところだった。
「よっ!目覚めたか!」
「おかげさまでぐっすり眠れたよ!」
「今からメシに行くのか?」
「あぁ、そのつもりで出てきた所だ」
「んじゃ、俺らも一緒に行くわ!」
「わかった」
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みんなで集まり食事をしていると、ライが思い出したように話し出した。
「そういえば、昼間部隊室に行ったんだけどさ──」
ライが昼間に部隊室で敵の出方を調べている時に、やはり昨日よりも少ない数しか投降されてないことに違和感を覚えたという。
「どれくらい少なかったんだ?」
「そうだな……一割か二割位減ってる感じかな?」
「……そうか」
ライの返答に考え込むロキは、もう一つ気になることを聞いた。
「なぁ、もしかしてだけど。相手は両サイドから攻めて来てる感じだったか?」
「お!良くわかったな!」
「!!」
ロキの驚愕した顔に他のメンツが視線を集めてきた。
「やっぱり気付いたか?」
「可能性だけだけどな……」
「隊長、どういうことですか?」
「自分たちにも分かりやすく教えてくれ!」
「……あぁ!だが、コレはあくまでも可能性の話だ、それは念頭に入れとけよ」
「「「わかりました!」」」
「多分だが、相手は両サイドに注意を向かわせることで、戦力の分断を行おうとしてるのはわかるな?」
「それは、わかりますけど……」
「じゃあ、分断する意味は?」
「各個撃破と注意拡散だと思われます!」
「それだけとは限らないんだよな~」
ネロの回答にライは肩を竦めて否定した。
「そう!もしかしたら、敵の行動は裏に回り込む為のカモフラージュも企てられている可能性もあるんだ!」
「ついでに言うと、四方向からの挟み撃ちを行う可能性もある」
ライの補足説明にロキは頷いた。
「この事は、指揮官達はなんて?」
「それには気付いていたみたいだか、どう対処するか協議してた、ただ四方向からの攻撃についてはどう対処するか見当もつけられてない状態みたいだかな!」
「わかった」
自分たちの領分外の事に口出しする事は出来ないため、この話は五人だけの他言無用にすることにした。
続く
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