第3話 出会い

 ロキ達の読みが当たり、反対側から迎撃部隊が迂回してきていた。

 カイがその部隊を迎え打つなか、足の早いサイが本隊の人間に急いで連絡を行ったことで事なきを得たが、命令違反を行った事実にロキ達の班は、反省文のペナルティを受けるだけで済む事が出来た。


「メシ抜きのペナルティじゃなかっただけマシだけど……流石に、反省文合計十枚はきつい……!」

「だな……、一応は体裁があるから軽めにしてくれたと思うんだが、指揮官に伝えなかったのがいけなかったみたいだし、大きく怒られなかっただけヨシと思おうぜ!」

 ライの言葉にロキが答え、ネロ達三人はソレに大きく縦に頷いた。


「……っと、これでヨシ!終わった!」

 ロキは、紙を走らせたペンを置いて伸びをした。

「マジかよ!?」

「早いですね!」

「俺、まだ半分もいってないですよ……」

「僕はやっと一枚目が終わったところですよ……」

 ライの驚愕の言葉を皮切りにネロ、カイ、サイの順番に各々おのおの言葉を洩らす。


「じゃ、俺コレ提出してそのまま少し散歩してくる」

「ちょっと待て、ソレ写させろ!」

 ロキの言葉にライが待ったかけた。

 班の中で一番事務作業が苦手なライは、まだ数行しか書くことが出来なかった為、写す事で早く終わらせようとしていた。


「頑張れライ!こういうのは、ダメだった部分と改善する部分、それから、最善の方法がナンだったのかを書いておけば良いんだよ!」

「俺がソレ苦手なの知ってるだろ……!」

 ぐぬぬ、と言いたそうなライにロキは笑顔を向けるだけだった。


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 そして、本隊の指揮長に反省文を提出したロキは、幾つかの質答を行い、その場を離れた。

「綺麗な満月だな……湖の方に行くか……」

 月明かりに誘われるように、そんなことを考えて湖の方向に歩いていく。


 湖に辿り着きその周りを宛もなく歩くロキの前方に人影が一つ見えた。

 それは、月明かりのスポットライトを浴びてるのではないかと思うほどに、絹糸のような金の髪を風になびかせる、キレイな女性だった。


               続く


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