悪友~再会は最悪の道に続く~
巴瀬 比紗乃
オープニング
頭が真っ白になるほどの体力を使い切り、今では走馬灯が脳内を流れている。
思い出したくもない思い出の数々が彼との初対面を想起させ、忘れないように焼きつけている思い出がくすむ。それでも自身の中の憎しみが霞むことはなく、むしろ腹から膨れ上がっているのを毎日感じていた。
ただ、その在り処だけが、不本意にもすり替わってしまいそうで。それがまた、稔流の中で憎悪を生んだ。
稔流の身体の中で派生する負の連鎖は、今にも彼女を支配してしまいそうだった。しかし稔流は必死にその手綱にしがみつく。同時に、自身に問う。
なんのために私はここにいるのか、と。
ただ時間が流れるままに過ごしていた毎日に、今、意味が生まれそうで。それはきっと良いことなのに。受け入れがたい理由は、行き着いた扉の先にあった。
存外に大きな音を上げて、扉は開いた。
そこは誰も寄り付かない、資料室。そこには、
そんな普段なら人気のない教室に、この日この時間だけ、人が溢れていた。
「遅いよー、大久保さん。自由な校風だからって、遅刻が許されるわけじゃないんだよ?」
扉を開いた先、
「なんて、分かってるか。大久保さんは」
「やっぱり、遅刻はわざとか」
「【幹部】の名は伊達やないな」
嫌味に迎られ、前途多難の四文字が脳裏をよぎった。
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