私立・聖コープル女子高等学園「エロ研究部へようこそ♡ ……オイようこそっつってんだろ。ナニ引いてんだよ来いよ、良識なんて捨ててかかってこい! このスケベ共がー!」「下品だなぁ……」
2部:第4話 黎ちゃんセンセの女子力アップ大作戦~♡ 制服姿で学生時代を思い出せっ★ ―――不抜(※抜けなかった)
2部:第4話 黎ちゃんセンセの女子力アップ大作戦~♡ 制服姿で学生時代を思い出せっ★ ―――不抜(※抜けなかった)
夏休みの
活動参加が義務付けられている訳でもないが、にも関わらず集まってくる
エロ研究部の
―――
スポーツ万能、スタイル抜群、フィジカル無双を全力で無駄遣いする
―――
ツッコミ上手の文学美少女、もはや軍師の貫禄か、手にする
―――
抜きんでた財力を持ち、実はさりげに部長登録されている、名前の読みが尖った。
―――
結成当初のメンバーが
さて、そんな彼女たちの中から、今回の活動内容を――なぜか威風堂々と腕組みしている(やめなよ)カヲリが、ルナと話し始める。
「ついにキちまったな、この時がよォ……!(ピキッピキッ) 聖コープルの歴史に残るかもしんねぇ、重要イベントの始まりだゼ……!?」
「そぉぉねぇぇ~……! なんせ今日まで、超手こずらされてきたかんねっ……でも今回の
「いえあの、カヲリさんもルナさんも、何でそんなヤンキーものみたいな喋り方を……ルナさんに至っては声質が可愛すぎて合わず
いつもの如くすみれちゃんがツッコんでくれる。助かる。
と、変な雰囲気を
「んで……確か今日は、顧問の
「そのとーりよ、ハナコちゃん。話がスムーズに進んで助かるぅ~★」
「わたくしゃフローラだっつんですわルナ公。あとわたくしがスムーズに進めてるってより、あなた方が話を逸らし過ぎなんですわよ、いつものことですけれども」
花子もなかなか真っ当なツッコミをしていく中、不意に室外から声が響く。
『―――皆の衆、そろそろ入室して良いか?』
「ウン黎ちゃん先生、普通に〝みんな〟とか言って欲しいトコだけど……おっけー、どうぞ入っちゃってくださ~い★」
『委細承知』(だから言い方をさぁ)
妙に仰々しいのは謎だが、そんな黎が入室した――その瞬間。
「「「!? ……お、おぉ……」」ですわぁ……」
「わあ……」
ルナ・カヲリ・花子が(ほぼ)口を揃えて感嘆の息を漏らし、すみれも
実際、姿を見せた黎は、その様相は―――
聖コープル女子高等学園の制服に身を通し、すらりと伸びた長い手足に無駄な
お嬢様学園にしては〝へそ出し〟になってしまっているのは、その主張の激しいバストが制服の上半身部分を押し上げているためだろうか。
ポニーテールの黒髪が躍動感を、切れ長の目は鋭くも強気な印象を――みずみずしい雰囲気を
その姿を見て〝うわキツ〟と、誰が言えるだろうか。肌の張りは現役の高校生にすら負けないほどだし、その事実は
とはいえ本人に自覚はないらしく、少しばかり緊張気味に黎は問いかける。
「
「いやウン、もうちょっと口調とか砕けて欲しいなって思うケド……すっごく似合ってる~! 学園とかで会っても
「
「あのね? ウン、なんか……いつにも増して固くないです? 服装を若くしたら、反比例して口調が古風になるとか、そんな話あります?」
あるかな……あるかも……。
それはそうと、外見だけなら完全に同年代としか思えない――どころかグンバツ(死語)のスタイルを惜しみなく見せつける黎に、カヲリと花子が驚きのまま会話を交わす。
「ウッヒョ~ッ……見ろよハナコ、黎先生の
「わたくしはフローラ。つかカヲリさんの雰囲気もなんなんですの。スケベおやじみてーになってますわよ。乙女としてお控えあそばせ?」
「でもエロ研究部っぽいだろ?」
「エロ研究部っぽいですけれども」
〝っぽさ〟をわざわざ出す必要あるかな、と疑問に思わなくもないが――何やら様子がおかしい気がする黎に、すみれがおずおずと語りかけた。
「あの、黎先生、もしかして調子とか悪かったりします? 普段から、えーと……厳格ではありますけど、今日はいつにも増して固い雰囲気というか……」
「ウムゥ。……ううむ、実はのう……この学園の卒業以来、久方ぶりに袖を通したら、制服がパッツンパッツンで苦しゅうてな。特に胸がキツうてのう……」
「な、なるほど、高校卒業後も成長期が終わってなかったんですねぇ……って、ちなみに最後に袖を通したのって、何年前なんですか?」
「ろ。……………い、今現在、二十代前半と言い切れるくらいですな。ガハハ!」
(おっと、どうやら触れてはならぬ
気を遣える女子・すみれの英断――だが同じく気が遣えるはずなのに、ブッ込む時はブッ込む〝倒れる時は前のめり〟系女子ルナが果敢に挑む(やめとけやめとけ!)
「ええ~っナニナニ~? 黎ちゃん先生の高校時代のハナシ? めっちゃ気になる~卒業とかどんなカンジだった? 何年前のハナシか教えてよ~★」
「! い、いやいや、大した話ではないから……ちょ、や、やめぬか江神氏~! 拙者、困りますぞ~~~! ってちょっ本当にヤバ―――あっ」
「え――――」
真実、挙動不審だった黎が、何やら焦った声を発した直後―――彼女の胸元から、〝ズドンッ〟という音と共に、何かが勢いよく射出され。
「―――ウグウッ!? こ、こほっ……な、何かが、眉間に……ぐふっ!」
それは、ボタン――黎の胸を締め付けていたボタンが弾け、弾丸の如くに飛翔したのだ――!
その恐るべき事態に、カヲリが青ざめつつすみれに促す。
「ボ……ボタンだ! ヤベーぞ、少し下がれ、すみれ! 危険だッ!!」
「……いや〝胸のボタンが飛んじゃった★〟なんてお色気ギャグみたいな話が、こんな蒙武VS汗明みたいな話になります!? 〝ズドンッ〟って効果音も完全におかしいですし! どんな威力なんですか一体!?」
「ヤベーよマジで、この一戦で天下に示しちまうかもしんねーよ、黎先生の乳力(なんスかソレ、ちちぢから?)が最強だってよ……って、ボタンもう二つくらい飛んだ気がすんだけど、一体どこに……?」
「よ、よく見えましたね、カヲリさんも動体視力すごいな……えっと、どこと言われても――ん?」
ふと、すみれが目を向けたのは、花子――の両目にジャストミートしたボタンで。
「前が見えねぇですわ」
「ハナッフローラさん大丈夫ですかー!? 目はマズイですよ目は!」
「な、なんとかギリで目ェ閉じれましたから、大事ないですわ……でも困惑のせいかハナッとか幻聴が聞こえましたけれども……」
「ああ、それは困惑のせいですね……まあ念のため、良く見ておきましょうね。ハンカチを濡らしますから、これで冷やしましょう~」
「うう、ありがとですわ、すみれさん……ウヘヘ、役得ですわねぇ……♪」
「ウ、ウウ、すみれちゃ~ん……アタシも、アタシもチヤホヤして~……」
ボタンの弾丸(そうとしか言えねぇ……)を喰らったルナと花子を、すみれが慌ただしく介抱する中。
制服の胸元のボタンを弾き飛ばした黎が、解放されたかのように呵々大笑する。
「いやあスマンスマン、胸筋もなかなか鍛えられていたのかな? だがまあ胸元がスッキリして、かなり楽になったよガハハ(やめてくださいよ)」
「お、おぉ……なんていうか、絶好調スね、黎先生……」
「おお呂波、抑え込まれていた反動かな、何やら駆けだしたいほど元気が
(やっぱヤベーわ黎先生、絶対に逆らわんとこ)
学園一のフィジカル無双カヲリですら恐れさせる、黎ちゃん先生の女子力ゼロの呵々大笑が、元気一杯に響く。
つまり、黎ちゃんセンセの女子力アップ大作戦、失敗である――だって胸元あけっぴろげなのに色気の欠片もないんですもん、嘘みてぇな話っスよコレ……(戦慄)
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