第37話 ★第一部・完★ 一学期の終わり、でもこれから先も一緒♪ ……へえ、第一部とかの概念があるんだ? しれっと続けようとしてんのね、なぁ~るほどねぇ~……?

 一学期の最終日、私立・聖コープル女子高等学園の、終業式を終えて――


 生徒たちは、既に下校が許されている時間帯。

 晴れて夏休みの始まりとなる……が、しかし。


「………………ふう」


 クーラーの利いた、文芸同好会Noエロ研究部の室内で――下校せず、一人で座って本を読む美嶋みしますみれがいた。


 紅茶を飲んでひと息ついていると、やや時間を置いて、時間をかけて整えられた金髪が麗しい、いかにもお嬢様の中のお嬢様、花子が入室する。


「オーホッホッホ! ごきげんよう……って、あらっ? すみれさん一人ですのね、ちょっと珍しいですわね~」


花子フローラさん。ええ、私は夏休み前の委員会が、早く終わったみたいで。まあ別に、ここに顔を出すよう決められてたわけでもありませんけど……何となく、来ちゃいました」


「すみれさんもですの? 実はわたくしも……何だか最近は、何だかんだでここが一番、落ち着くんですのよねぇ……」


「あ~、わかりますっ。……あ、よければ紅茶、一杯どうぞ♪」


「いただきますわーっ! んんっ……親友ベストフレンズ♡の紅茶、最高ですの……♡」


 大げさに喜ぶ花子、に続いて――今度はカヲリがやって来る。


「オイスー元気かー? 貴様らに素敵なお客様がお見えだ! 即ちウチ、総勢一名、推参ッ!」


「誰、誰なんですの!? ってならねーわ普通に入ってこいですわカヲリさん!」


「明日から夏休みだからか、テンション高いですねぇ……ネタも渋滞してますし。あ、よかったら紅茶とクッキーどうぞ~」


「わ~い♡ サンキューすみれ、うっひゃ~ウメェなぁ~たまんねえぞ~!」


 やはりテンション高く、食いつきの良いカヲリさんである。


 一人だった時から、一気に賑やかになる室内で――すみれは、ぼんやりと。


(………思えば)


 ふと、考えることは。


(もし私達が、文芸同好会……そして一部が曰くエロ研究部ではなかったら、どうなってたんでしょうね。例えば、何でも……普通の部活に誘われたら。私はきっと、本は一人で読みたいので、なんて断って……花子さんも、難しかったかな。カヲリさんだって、運動部の助っ人を優先するなら、入ってなかったかも)


 つまり、正直、すみれも〝どうかなぁ〟と思わなくはないようだが。


 それでも―――



(私達は、文芸同好会で――いえ、だなんて言い出したからこそ

 こうして、趣味もタイプも全然違う皆なのに、集まることができた。

 私達は、―――



 と、そこまで考えて、くすっ、とすみれは冗談めかして笑う。


(なんて、さすがに大げさすぎですねえ。でもまあ、全然間違いでもない、って気もしますし……何より、言い出しっぺののおかげですよね)


 そこへ、ちょうど―――入室してきたのは。



「―――オイスー★ 貴様らに素敵なお客様がお見えだっ。即ちアタシ――」


「それカヲリさんが、さっきやってましたわよ」


「な、なにィ!? 何てこった……ハメられたっ……ハメられたぁぁぁぁ!」


「ルナおまえ、今のスゲーエロ研究部っぽい」(親指グッ)


「カヲリちゃんマジ? アタシ、今再びエロの天稟てんぴんが見え隠れしてる?」


「間違いねーよ、隠れてるどころかおっぴろげだよ、けっ〇う仮面レベルだよ!」


(けっ〇う仮面が自然と出てくる女子高生とは一体……)


 心の中でツッコむ、そんなすみれ――だが、いつもの雰囲気に、何となく安心している自身にも気づいているようで。


「フフフ、ついにアタシら大エロ研究時代が始まる……探せスケベ共、そこに全てを置いてきた(エロ本とかかな?)……ン? すみれちゃん、どしたのー?」


(……本当、最初は思ってもみなかったですけど、皆と一緒に色々やったり、遊んだり……楽しくて。ルナさんのおかげだから……ええ、本当に)


 ルナの言葉で、つい彼女をジッと見ていたことに気付いたすみれが――ふっ、と頬を緩め、告げるのは。



「ありがとうございます―――これからも、よろしくお願いしますね♡」


「んえっ!? ナニナニ、何で急にまたデレた~!? ……ん? 今の話の流れ的に、これからもエロトークをもっとよろしくみたいな!?」


「それはどっちでも♡」


「えええじゃあもう何なの~!? わから~~~ん!!」



 煩悶はんもんするルナ、笑って流す強者すみれ


 と、カヲリが思い出したように告げるのは。


「あ、そーそー、ここ来る前の通りがかりにチラッと話したんだけど、美々香も黎先生も、終わった後に来るってよ。生徒会と職員会議だから時間かかるかもだけど、茶でも用意して待ってようぜ~」


「ムムム……ん? おっ、そうなんだ☆ んじゃ、夏休みの計画、考えないとね~。ニヒヒ、遊ぶぞ~♪」


 このエロ研究部文芸同好会の言い出しっぺたるルナが、告げるのは。



「夏休みだけじゃなく、もろち……もちろんその先も!

 アタシら、一緒なんだからね~~~♪」


「「「お~~~~~~っ♪」」ですわ♪」



 高らかに声を上げる、エロ研究部文芸同好会の乙女たち。


 まあ少なくとも、目下もっかの話。


 彼女達の、今年の夏は。



 ―――賑やかで熱くなりそうなのは、確かだ―――




 ★ 第一部・完 ★





――――――――――――――――――――――――――

★あとがき★


 ここまでお付き合い頂きまして、誠に誠に、ありがとうございます!

 一先ずの区切りとして、この一学期の終わりで「第一部・完」とさせて頂きます。


 反応やコメント、輝くレビューまでくださった皆様のおかげで、楽しく書けております、楽し~い!

 そもそもが急に始まったお話ですので、駄弁りたくなったらまた更新します☆

 プールとか海とかイキタイじゃんね、水着は大事やんね……☆


 ぶっちゃけカクヨムコン9の後くらいに、また再開する予定です。

 再度になりますが、何だかワチャワチャしたエロ研究部文芸同好会の日々……お読みくださって、本当にありがとうございます~!


 あっ作品フォローとか★評価とか頂けると、更にやる気がムンムン湧いてくると思いマス★

(正直が……過ぎるぞ……!)

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