第3話

マリアside


私はマリア・テイラー。活動名ではマリアイギリス出身だけど生まれてすぐに、日本に来たから文化や言語は日本人そのもの。私の家系は代々騎士の家系で、困っている人を見掛けたら差別はせずに、誰でも助け、笑顔にする。そんな家訓があり、私もその家訓は好きだ。だからこそ、固有魔法に目覚めた時はうれしかった。この力でたくさんの人を助けられる…笑顔を届けることができると。だから、私は攻略配信をしていた。だけど、活動を続けていくと段々そうではないことを知った。今だってそうだ。『森の迷宮』の破裂。一般人だって大勢いた。助けないといけないのに、『森の迷宮』の守護者の蟻鎌を倒せていない。まゆも魔力切れ。他の迷宮攻略者達も重症を負っている。私もそろそろ魔力が切れる。


「キキッ!」


 蟻鎌は『森の迷宮』はただのB級の魔物。いつもなら余裕なはず…。だけど迷宮破裂のせいでその強さは2倍以上に跳ね上がり、私1人では到底倒せない。だけど…


「『聖騎士の加護』!!」


この魔法は同じA級の魔物でさえも、壊すことの出来なかったバリア魔法。これでせめて一般人だけでも守る!


 だけど、今の蟻鎌の狙いは私。私は魔力を全てその魔法に使ったため、ガラ空きとなってしまった。


「キエー!!」


 蟻鎌の鎌がマリアの肩から腰の位置まで浅くはあるものの切り裂いた。


「うっ…!」


 その怪我は今のマリアにとって致命的な怪我となってしまった。


 「…ここまで…ですか…」


 すみません。お母様。お父様。私は誰も守りきれませんでした。


 私は次に来るであろう蟻鎌の攻撃を避けることを諦めて、衝撃が来るのを目をつぶって待った。


 だけど、その衝撃はいつまで経っても来ない。マリアは恐る恐る目を開くと、そこには黒色のジャージを着た若い男性がいた。その男性は蟻鎌の鎌を片手で止めていた。


「はい、そこまで」


「え?」


 あの蟻鎌の攻撃を片手で止めるとは…。彼は一体何者なの?


「キキッ!?」


 蟻鎌の方も止められるとは思っておらず、片手で止められたことに驚いていた。


_________________

マリアの配信コメント


:これ大丈夫か?


:マリアたん、A級だけど流石に迷宮破裂時の蟻鎌はきついかも


:マリアたん、死なないで


:誰か助けに行ってくれよ!


:いや難しいのかもしれない


:なんでだよ!?


:本職で攻略者してる者の意見としては日本でこの蟻鎌を倒せるのは知っている限りだとS級攻略者の2人しかいないと思う


:SS級なんて日本にいないし…


:しかもそのS級の2人は今海外の迷宮の大規模攻略に参加している模様


:絶対絶命じゃねぇかよ!


:あ、マリアたん…自分にバリア魔法を掛けずに一般人の方にバリア魔法をかけてる…


:くそ!なんでこんなにいい子が死ぬんだよ!


:あ…


:終わった…


:まじかよ…


:…ん?誰だ?あの男


:見間違いじゃなければこの男、蟻鎌の攻撃を片手で止めてるんだが…


:こいつやば笑笑


:なんか野球投げで迷宮に向かって蟻鎌を投げてんだけど…


:ふぁ!?


:凄すぎるんだけど笑


_______________


衝side


「ふぅ…さてここからどう倒すか」


 なんかあいつ腕持ったとき、やたら硬かったんだよな…。もう一回試してみるか。


 俺は魔物の方に走って向かい、腹部に向かって本気で殴った。


 …やっぱり。こいつやたら硬いな…。…でも大抵こういう魔物の弱点はあそこにあるんだよな。


 魔物が俺に向かってカウンターを決めようとしている所を右手で止めて、左手で魔物の左腕の関節部分を持った。


「おいおい、お前。なかなか大層な武器持ってるじゃねぇか笑…その武器もらうぞ?」


 俺は左手で持った左腕の関節を捻った。


 すると魔物の左腕が千切れた。千切った時に魔物の腕から噴水のように紫色の血が飛び散った。それがたまたま口に入ってしまった。…まっず。


「ギエエエエエエエェェェ!!!!」


「さて、武器も手に入ったし…ここからが本番だな」


 すると、魔物は逃げるように迷宮に向かった。


「ギギ…ギエエエエ!!」


 それはまるで壊れたおもちゃのように走って逃げていた。


 だが…


「おいおい、何逃げてんだよ」


 俺は魔物から取った武器を両足の関節に向かって振った。


 すると魔物の足は切れて、飛んでいった。魔物は逃げられなくなった。


「ギェ…ギェ…ギギェー!」


 それでも右腕で必死に身体を動かして逃げようとしていた。


 俺は背中を踏んで逃げられないようにする。すると、魔物の身体の硬かった部分にヒビができた。


 …思ってたより弱いなこいつ…。


 俺は魔物の首の関節に向かって武器を振った。すると頭が飛んでいき、残ったのは少し先に飛んだ頭と足と踏んづけている胴体だけだった。


「はぁ…つまんな」


 …ってか俺、めっちゃ目立ってんじゃん!考えろ!どうしたら良い感じになるかを…!


 俺のIQ1万の脳みそが弾き出した答えは…


 









 この場から逃げる。


「ちょ…ちょっと待って!」


 衝は走った。誰かの声を無視し、我がマイホームに向かって…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 読んでいただきありがとうございました!

 今回の「走れショウ」はどうだったでしょうか?笑

 戦闘シーンを書いたのは久しぶりなのでおかしい点がございましたらコメントにて教えていただけるとありがたいです!

 その他の感想などもお待ちしております!


















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