NTRから始まる恋もある⁉

アサガキタ

クソビッチでも恋がしたい。

第1話 恋は盲目。

「ヤバ……梶」


 気だるい朝。登校すると教室の入り口でクラスの女子に声を掛けられた。少し気の強い系女子。染めてる訳じゃなさそうだが、果てしなく金髪に近い。よく知らないがハーフらしい。セミロングに切れ長の目。


 こんな感じなんでクラスでは、いや学年ではそこそこ目立った存在。いわゆる人気者。1年の時も同じクラスだったこともあって、まあまあ話をする。


 佐々木桜花おうか。俺と同じく2年生。人気者とはいえ、別に鼻に掛けた感じもないしいいヤツなんで普段から挨拶とか、長めの立ち話をする相手。


 ちなみに俺自身、彼女もいるんで特に佐々木桜花を特別な女子としては認識していない。気の合う女友達のひとりと言えば、贅沢に聞こえるかもだけど、実際そうだ。


 だから、朝からこんな風に話し掛けてくるのは実は珍しくない。彼女持ちなので、佐々木自身も俺のことを男として見ていないのかも。それはそれで居心地がいい。


「あぁ……えっと、そう! 梶! あんた保健委員だよね!」


「ん? そうだっけ?」


「そうなの! あんた、自分が何委員かぐらい、いい加減覚えなさいよね! あっ、それで、アレよ、アレ! 私、その体調悪くて」


「そうなのか? めちゃ元気そうだけど?」


「悪いの! 今にも倒れそうなの! ほ、保健室連れてって!」


「えぇ~⁉ いや、今から高坂と昨日みつけたオモシロ動画の話をだな」


「どうでもいいわ! あんなバスケバカと動画の話なんかより、保健室!」


「えぇ~~っ、あっ、じゃあ志穂も保健委員じゃん、志穂に――」


「あんた、知ってるよね? 私と澤北。超絶相性悪いの」


「あぁ……まぁ、そうだな」


 澤北志穂。佐々木みたいなイケてる感じの女子ではない。どちらかというと地味系だが、愛想もよく優しい。肩までの黒髪。透けるような肌。


 いわゆるかわいい系で、ちなみに俺の彼女だ。そう言えば志穂が保健委員に選ばれたので、アイコンタクトで俺もなったんだった。なんて言うか、言葉にしなくても分かり合える関係? 


 そんな感じ。だけど、佐々木と志穂はなんて言うか、両極な存在。ふたりは同じ中学出身のはずだけど、あまりいい関係ではなさそうだ。中学時代何かあったのかも。志穂に聞いたことないからわからない。


 そんなふたりの関係もあって、俺は男友達の高坂と動画をネタにバカ話をする計画を諦めた。次の休み時間でもいいし。


「わかった。じゃあ、かばん置いてくるわ」


「あっ、かばんさ。持ったままでいいんじゃないかな?」


「えっ? ヤダよ、重いし」


「はぁ⁉ それぐらい我慢しなさいよね、何なら持ったげるから」


「いや、佐々木。お前体調悪いんだろ?」


「あっ……? いや、かばんのひとつやふたつ持てるくらいの体調なんだなぁ~~これが」


「ふたつ持てるなら保健室いらなくない?」


「と、とにかく‼ いい? あんたは私を保健室に連れてくの! あんたのかばんなんかその辺にぽ~いしときなさいよ!」


「酷いなぁ……すぐだろ、すぐ。ちょ、待ってろ。机に――」


「梶君。佐々木さんの言う通り、あなたのかばんなんて、その辺にぽ~いしときなさい」


「和田さん! そっ、そうよね! うん、ほら、梶! 多数決であんたのかばんはぽ~いが確定されました! はい、心置きなく保健室!」


 冷めた声で話しかけてきたのは和田琴音。このクラスの委員長で、この子も1年から同じクラス。スカした感じはするが、話すとそこそこ話す。黒髪におさげ。そして眼鏡。


 これでもかと言わんばかりの委員長ルック。そしてそこそこ辛辣。苦い顔している俺を放置し、何やら女子ふたりがこそこそ話を始めた。


(佐々木さん。これはの隠蔽なのね?)


(そうなのよ、梶バカだからなかなか思うように行かなくて……和田さん協力して!)


(わかったわ、梶がバカなのは。協力する)


(ありがと!)


(それとこれだけは言わせて)


(なに?)


(あなたが作ったこの時間は、世界の歴史を変えたわ。あとは私に任せて)


(そんな大げさな話?)


 どうやら女子のこそこそ話は終わったようだ。そしてなんだろ? 和田琴音こと委員長ちゃん。手をあごに添え、これでもかと蔑んだ負のオーラを発してるのは気のせいか?


「梶君。いい? あなたにはこの2択を授ける。大人しく私の指示に従って、佐々木さんを保健室に連れて行く。もしくは跪いて私のスリッパを舐めなさい。ちなみに黙って保健室に行くなら、スペシャルサービスであなたのかばんを、自席に持って行ってあげなくもない」


「あっ、じゃあ…かばんで」


「聞き分けよくて助かるわ。そんなあなたにもうひとつスペシャルな提案。1限目は胃痛で保健室に居なさい。いい? ?」


「なんで? 俺、全然どうもないけど…」


「ふふっ、心配しないで。あなたは大なり小なりから」


 朝から負のオーラ全開で、あらぬ方向にかっ飛ばしてる委員長ちゃん。佐々木桜花に目で助けを求めるが首を振って「諦めなさい」と言わんばかり。事実。数分後、委員長ちゃんの予言通り俺は胃痛に襲われる事になる。


 逆に言えば俺にとって、今が最後の幸せな時間だったのかも知れない、あの学校の裏サイトの動画を見せられるまでは。


□□□作者より□□□

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