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「い……いや、でも、ポンチ絵の方はともかく……明らかに特定の個人を名指しで呪い殺そうとしてるようにしか思えねえ画像を投稿したり、拡散したら……SNSの規約に引っ掛かるだろ、

 オカルト系の動画を配信してる俺からしても、あまりに無茶苦茶な事を、真面目そうなサラリーマンにしか見えないおっちゃんが言い出しやがったんで……思わず、そう反論した。

「どこから説明したらいいか……私は、ある工場に勤めてまして……その工場で作ってるある機械の制御ソフトの開発を担当する部署に居ます」

「へ……っ? それと何の関係が?」

「その制御ソフトを設計するには、画像処理の知識が必要なんですよ」

「ん……? えっと……まさか……」

 まさか……ポンチ絵の方を……何か画像処理したら……?

「あなたがポンチ絵と呼んだマンガの画像ですが、ほぼ線画ですよね? 影なんかを表現するのに灰色で塗り潰してる場所は、ほぼ無い筈ですよね?」

「え……ああ……」

「そして、この画像はPNG形式で投稿されてました。動画配信されてる方なら御存知かも知れませんが……PNGはJPEGやWebpなどの他のWEB上で良く使われてる画像形式に比べて、ある特徴が有ります」

「何?」

「JPEGやWebpは、人間の目では判らないように情報を劣化させる事でファイルサイズを小さくしています。ある画像をJPEGやWebpで保存したら、人間の目では判りませんが、元の画像と一〇〇%同じモノではなくなります。でも、PNGは違います。専門用語で言うなら……可逆圧縮です。元の画像を一〇〇%再現出来ます」

「え……えっと……それで……」

「貴方がポンチ絵と呼んだ漫画の画像を構成している点は……見た所は、真っ白と真っ黒がほとんどです。黒い線と白い背景の境界ではどちらでもない灰色になる事も有りますが……ですが……」

「ですが……?」

「変だったんですよ。人の目で見ると判りにくいですが……この画像を解析してみたら……調調んですよ」

「えっ?」

「そう言う方法で画像になんかを埋め込む技術は有るので、それかと思いまして……念の為、マンガの方の画像の明るさを表わす値が偶数の点を黒で、奇数の点を白でプロットしたのが……もう1つの画像です」

「え……? お……おい……待ってくれ……」

「私は……その手のモノは、あんまり信じませんが……起きてる事だけを言えば、こうなります。んですよ」

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