(4)
今日から一週間ほど、次回の原稿の仕上げの為に、アシスタント達と仕事場で泊まり込みになる。
「あのさ……何か、ロマンチックな事言えないの?」
「えっ?」
「『昨日のセンセは最高でした』とかさ……」
「すいません」
クソ。顔はいいけど……面白くね〜女だ。
ベッドの上でもマグロだったし……。
しかも、何だよ、この
まさか、俺の漫画の「本家・祟り屋」で超・大物お笑い芸人がハニトラに引っ掛かって社会的生命を失なった回みたいな事になったりすんのか?
まぁ、いざって場合の為の証拠は有る。強姦じゃなくて和姦、そして、こいつも泣いて悦んでた証拠が……。
ん?
あれ?
道路に誰か……しゃがみ込んで……。
でも、反対車線……。
と思った瞬間……。
衝撃。
人轢いたの?
でも、道路にしゃがみ込んでた阿呆が居たのは……反対車線の筈。
まさか、もう1人、道路にしゃがみ込んでた阿呆でも居たのか?
い……いや、いくら何でも……そんな見落しをする……わ……わけ……。
気付いた時には……パトカーと救急車のサイレンの音。
何かに衝突した衝撃で、気を失なった……ら……し……い。
「すいません、御名前を言えますか?」
警官が、俺にそう言った。
「は……はい……安房清二……あ……ペンネームだった、本名は千葉昭治です」
「あの……車検ちゃんと通った車ですよね?」
「えっ?」
「助手席のエアバッグが作動しなかったみたいです。しかも、助手席の方、シートベルトしてませんでしたよ」
はぁ?
いや……待て……。
今時、こんな酷い偶然が重なるか?
「あ……あの……連れの女は……」
「亡くなりました。救急隊の話では……衝突の衝撃で噛み切った舌が気道に詰った事による窒息死だそうです。ところで、亡くなった女性との御関係は?」
えっ?
それ……あいつにアイデア出させた……お笑い芸人をハニトラで引っ掛けた糞女の死に様……そのまんまじゃねえか……。
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