第2章:私人逮捕系動画配信者
(1)
国民的どころか世界的人気を誇り、アニメ化もされた漫画「羅刹狩り」の登場人物である
諂曲とは、仏教で六道の内の修羅道に対応する煩悩または心の状態だ。
その奇妙な名前は、諂曲炎槌というキャラクターの作中での別名が「爆炎の阿修羅」である事にちなんだものだろう。
関東大震災直後の混乱状態の東京を舞台にした話なのに、白い学生服風の上下に、遥か後の時代のナチスのSSでも着ていそうな黒革のコート。
同じ格好、
そして……。
何が起きているか見当は付いた……。
しかし……。
妙だ……。
この現象には第3者が関与している筈なのに……そいつの気配が異様なほど……もしくは、そいつの気配は
「なぁ……何か判ったか?」
「冗談じゃない。こんな件に関わったら、命がいくつ有っても足りない。他を当って」
「いや、つれねえなぁ……長い付き合いじゃ……」
「あのさ、たった1年半、一〇回以下しか実際に会ってないのに、何が『長い付き合い』? あたしは、そんな奴の為に命を賭けられるほど、お人好しじゃない」
その時……。
「あの……」
声の主は……普段着らしい事を除けば、五〇代のサラリーマンに見える、背は高めだが痩せた男だった。
服も眼鏡も野暮ったい……5分後には、会った事さえ忘れそうな感じの中年と初老の間ぐらいの男。
「ひょっとしたら、私の勘違いかも知れませんが……警察の現場検証を隠し撮りされてませんか?」
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