最弱無双~絶望を知った少年が世界を変える~
@purur02
第1話 異世界に呼ばれた者たち
それは、唐突に起こった。
いつもと変わらず、学校で授業を受けていると、教室が白い光に包まれた。視界が光で覆われてしまったら、誰だって目を瞑ってしまう。
どれくらいの時間、目を瞑っていたのだろうか。
気が付いた頃には、光も消えて、目が開けられるようになった。僕の視界に映ったのは、自分の目を疑いたくなるような光景。
見たことのない景色や人たち。周りに大勢の人がいるのにも驚くが、その中には武器を持っている者がいることに動揺を隠せない。
突然のことに、落ち着いていられる者はいなかった。無論、僕も同じだ。
「おお、姫様、召喚の魔法は無事に成功したようです」
「そうだな。まさか、これほどの数を召喚できるとはな」
一瞬だが、外国ではないかと疑った。だが、僕たちの前にいる見知らぬ者たちの言葉は聞き取れた。それは、僕だけではない。皆、話していたことが聞こえたはずだ。
決して、勘の鋭いわけでもない僕にでも分かる。異なる国ではなく、異なる世界にいるのだと。とはいえ、分かってはいても、その事実を簡単には受け入れられない。
疑問に思うことは山ほどある。今すぐにでも、色々と聞きたいが、見知らぬ場所で見知らぬ人に何かを聞く勇気は僕にはない。
だが、それが出来る者だっている。
「あの、ここは一体どこで、貴方たちは何者なんでしょうか?僕たちを召喚したと言っていましたが、何がどうなっているのですか?」
皆が落ち着きを取り戻せていない中で、前に出て話を聞こうとしている男が一人いた。彼は、僕たちのクラスの学級委員長で、名前は
やはり、こういう時に動くのは、彼のような人物なのだろう。
クラスのリーダー的存在が動いたことで、少しだけだが落ち着き始める。
そして、龍弥君の言葉を聞いた彼らはというと・・・・・
「これは大変失礼を。私は、この王国で宰相を務めているグレルンドと申します。そして・・・・・・」
「私は、第一王女のサラン・フルームだ。お前たちを召還したのは、私たちだ」
年老いた男性一人と、僕たちと歳が離れていないであろう女性が対話をしてくれるようだ。
対話が出来る。それだけでも、今の状況だと落ち着く為には大きなことだ。
龍弥君が代表して、一つ一つ質問を投げかけた。時折、他の生徒が気になった点を聞くこともあった。
どの質問も、皆が気になっていることばかり。その、質問一つ一つに対して、答えられる範囲内で答えてくれた。
まず、僕たちが今いるのは、セレンス王国という王国内にある王城。何故、召還されたのかという問いに対しては、救ってほしいと言われただけ。具体的なことは話してくれなかった。
他にも、元の世界に帰れるのかという問いには、言葉を発することはなく、首を横に振るだけだった。色々と聞いた中で、皆が一番反応したのは、何をしてほしいのかという問いに対する返答。
それは、強くなって一緒に戦ってほしいといもの。
それを聞いた時、僕は思った。たかが高校生に何を言っているのかと。ただ、相手も冗談を言っているようではなかった。
だからこそ、龍弥君は具体的なことを聞こうとしているのだろう。
「強くなってと言われても、僕たちは学生。訓練したところで、大した力にはなれませんよ」
「いえ、ご心配なさらずに。異世界から召還された貴方たちは、強い力を持っているので」
強い力?何を言っているのだろうと誰もが思った筈だ。
だが、それを言うよりも先に、宰相が僕たちに、小刀と手のひらサイズの金属プレートを渡してきた。
「それは、貴方たちの力を証明するものです」
それだけを言うと、僕たちに金属プレートの使い方を教えてくれた。
宰相曰く、金属のプレートはステータスプレートというようだ。ステータスプレートに自分の血液を垂らすと、金属プレートに個人の情報が浮かび出るらしい。
それを聞いて、一斉に小刀を手にした。
半信半疑のまま、言われた通りのことを、やってみる。
数秒待つと、光った文字が浮かび出た。
「どうです?能力について何か分かったんじゃありませんか。そのプレートは、貴方たちの物です。安心してください。今後は、血液はいらず、登録した本人が触れることで、情報が表示されるようになっています」
たしかに、色々なことが記されている。
『名前:黒井レン
種族:人間
年齢:17歳
性別:男
レベル:1
職業:傀儡師
能力:操術・傀儡化』
これが、僕の情報か。
こういうのがあると、異世界であることを強く感じる。
それにしても、傀儡師とは地味な僕にはピッタリなのかもしれない。
他の皆も、同じことをしているが、僕とは違って楽しそうだ。
「あの、これは、どうなんでしょうか?」
「おぉ、龍弥くん。君は勇者だったのか」
「私のこれは・・・・・・?」
「おぉ、君は聖女じゃないか。まさか、これほどまでに優秀な者たちが揃っているとは」
流石と言うべきか。いや、当然というべきだろう。見た感じ、その人に合った職業のようだ。
念のため、僕も自分のステータスに聞くとしよう。
「すいません、僕のも見てもらえませんか」
「ほう、どれどれ、君は・・・・・・」
僕にも何か言ってくれるのかと思った。だが、ステータスプレートを見た瞬間に、開いていた口を閉ざした。
それどころか、目も合わせなくる。
もしかして、気を遣ってくれたのか。そう思い、そこまで気にすることはなかった。
宰相は、全員のステータスプレートの確認をすると、再び皆の前に立った。
「優秀な者たちよ、改めてお願い申し上げる。どうか、我々に力を貸してください」
「僕たちに、力があるというなら、喜んで力をお貸ししましょう」
龍弥君の言葉がクラスの総意となった。
皆も理解しているのだろう。僕たちは、この世界で生きていくしかない。その為に、彼らと協力することが最善であることを。
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