異の世界から

@nishiyoshi

プロローグ

 令和5年8月2日、石山雄一は突如この世界から姿を消した。


 雄一が目を覚ますと、中世のヨーロッパのような場所にいた。俗に言う異世界転移をしたのである。

 それから8年の年月が過ぎ──


「もういい! 私出ていく!」

 妻が雄一と子供二人を置いて、出て行ったのである。その他にも、色々とこの世界に嫌気がさしていた。

 そして──

「帰ろう──」

 雄一は、二人を連れて帰ろうとしたのである。


「荷物の準備は出来たか?」

 スーツ姿の雄一は、子供のクルルとララにそう聞いた。

「うん!」

 クルルが元気に言った。

「お父さん変な格好」

 ララは、見たこともない雄一のスーツを見て笑った。

「それじゃあ── 行くぞ──」

 雄一たちは、転移した時に居た場所を来た。

「お父さん、ここで何するの?」

 ララがそう聞いた瞬間、強い光が3人を包み込んだ。

「目が!」

「お父さん!」

 子供達が目を瞑った。

「大丈夫だ──」


 次の瞬間、目を開けると人混みの多い所にいた。どうやら現代の日本のようだ。

「すみません。今、何日ですか?」

 雄一は、道行く人に日にちを聞いた。

「8月9日ですけど──」

「ありがとう!」

 雄一は、現代に帰って来た事が分かり安心した。

「お兄ちゃんここどこ?」

「知らないよ。ここは何なんだ── 鉄の塊がそこらじゅうに走ってるし、みんな耳に何か当ててる」

 子供達はぶつぶつ話していると、雄一は衝撃の事実を知った。

「は── 博多!?」

 実は、戻った場所は東京ではなく博多だった。

 仕方ないので、新幹線で東京に帰る事にした。

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