白熊あやなっち

ヤッキムン

あやなっち

わたしは白熊文奈。

小学4年生。

パリの小学生。


小3まではロンドンに住んでいた。


みんな、わたしのことは「あやなっち」って呼んでくれている。


わたしのママは大阪の人。パパは京都の人。

そやから、家では、いつも関西弁を聞いている。

わたしも関西弁をしゃべる。


お友達は、イレーヌちゃんとマーリアちゃん。

ふたりとも、ママは大阪の人。

それで、ふたりも、大阪弁もしゃべれる。


3人で、いつも大阪弁でしゃべっている。



パリの街は、なぜか、大阪弁も、めっちゃ良く似合う。

「~やん」「~やないの」「~やんか」「なんなん?」とか言ってると、なぜか、パリの街でも、ぴったりくる。


ちょっと芸術的な響きなんやろか?



「今日もオルセー美術館に行くで~」

って、イレーヌちゃんは言っている。

「そやな~」

「それな~」


3人で、いつもよくオルセー美術館に行ってる。


「今日も、あの絵を観に行こう」

「あの絵な」

「アレな」


あの絵、アレって言うのは、ヴィーナス誕生の絵のこと。


「イレーヌちゃん、ヴィーナス誕生、好きやからな~」

「マーリアちゃんもやん」

「みんな、好きやな~!」


「「「それな」」」



それから

「セーヌ川の遊覧船に乗らへん?」

って、マーリアちゃんは言う。

「「乗ろう」」


3人で遊覧船に乗った。


しばらく、船からパリの街をながめていた。


そしたら

ブクブクブクブク~

って、船はセーヌ川を潜りはじめた。


「「「うわっ!潜水艦やん!この遊覧船」」」


「なんなん?これ」

「こんなん、はじめてやな」

「潜るなんて、今までなかったよな」


「「「ほんまそれ」」」


3人で驚いていたら、船は、今度は、上へ上へと昇りはじめた。


やがて

ザッブーン

って、海の上に浮かび上がった。


「うわ~、海に浮いてるで~」

「なんか、いつものセーヌ川とちゃう」

「どこなん?ここは」


船着き場から船をおりた。

そして、街を歩いた。


「サンフランシスコやん」

「ほんまや!サンフランシスコやわ」

「えー、なんでサンフランシスコなん?」


3人で、驚きながら、サンフランシスコの街を歩いた。


「あっ!あそこのホテル、なんか、めっちゃ可愛い」

マーリアちゃんは、ちっちゃなホテルを指さした。


「ほんまや」

「行ってみよか」


3人で、海沿いのちっちゃな可愛いホテルに入った。


ロビーには、きれいな風景画、いっぱい飾られてある。


「う~わっ!めっちゃきれいな風景画」

「サンフランシスコの風景やな」

「ここの可愛いホテルにぴったりやな」


「描いたの、だれなんやろ?」

「有名な画家さんかな?」

「ちょっと聞いてくるわ」


マーリアちゃんは

「このロビーにいっぱい飾られてある絵って、描いたの、だれなんですか?」

って、ホテルの人に聞いている。


「えっ?...ああ、あの絵たちは、みんな、アヤナッチっていう画家さんの描いた絵ですね」


「「「ええーっ!アヤナッチー?」」」

3人は驚きの声をあげた。


「はいっ!どの絵も、めっちゃきれいにサンフランシスコの風景を描いていますよね!わたしも、この絵たち、みんな大好き」

って、ホテルのお姉さんも言っている。


「「アヤナッチって、あやなっち?」」

「いや、わたしは、こんなきれいな風景画、よう描かへんわ」


「あれ?なんか、サインしてあるよ?」

イレーヌちゃんは、絵に書かれてある、ちっちゃなサインを指さして言った。


「「ほんまや」」


3人で、サインをじっと見てみた。


「えっと...うわっ、カタカナやん」

「えっ...アヤナッチ...」


「「「うわっ!カタカナで『アヤナッチ』って書いてあるでー!」」」


「あやなっち、書いたん?」

「いや、わたしは書いてないと思う」



それから、3人で、サンフランシスコのケーブルカーに乗ってみた。

ケーブルカーは、坂道を登っていったと思ったら、そのまま、空へと飛んで行った。


「「「うわー!このケーブルカー、空、飛んでるー」」」


「今のケーブルカーって、空も飛ぶんやろか?」

「さあ?」

「どやろな?」


3人で、空飛ぶケーブルカーに乗って、驚いていたら、そのまま

ビュイ~ン

って、一気に飛んでいって

ザッブーン

って、川に飛び込み、川の上に浮かんでいる。


「うわっ!川に浮いてる」

「セーヌ川やん」

「戻って来たのかな?セーヌ川に」


3人で、船着き場でケーブルカーからおりた。

いつものパリの街を歩いた。


「なんでサンフランシスコまで行ってたんやろ?」

「なんでやろ?」

「知らんけど、はよ帰ろ」


「「「そやな」」」


パリの街を3人で歩きながら


「わたし、今日から本格的に絵を描きはじめるわっ!」

って、マーリアちゃんとイレーヌちゃんに言ってみた。

「「えっ?あやなっち、絵を描くん?」」


「うんっ!描いてみるわ!でも、その前に、『アヤナッチ』のサインを、もっとカッコ良く書けるように、サインの練習するわっ!」


「「なんでやねんなっ!」」


☆☆☆おわり☆☆☆








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白熊あやなっち ヤッキムン @yakkimn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ