第127話 (オマケ)「ミレナの少し孤独なグルメ」と「男達のきのこ祭」

 〜( ミレナ視点 )〜


 今日は男どもがいないから、私は一人で食事をする。


 

 とりあえずショータが食事として渡してくれてたお弁当は非常食として魔法のカバンにしまっておいて、ガーリックユズ胡椒と言う調味料をせっかくもらったので今日はこれを使ってみよう。


 それと、ヒマラヤ岩塩とかいうやつ。

 私はヒマラヤを知らないけど。


 お肉はあちらの世界の美味しい牛肉を使うわ!

 更につくねとピーマンも。


 お肉を焼いていくわよ。

 ジュ~。

 いい音が耳に響くし、この肉の焼ける香ばしい匂いがたまらないわ!


「……早く早くぅ♪」


 いい焦げ目がついてきたわ。

 もういいんじゃない?


 牛肉はレア気味でもいいってショータが言ってた気がするし。


 牛肉を適当に切り分け、ユズガーリックをのせて、


「……うん、イケル! このユズのピリッとした感じがまたいいわね!」


 男どもがいないから気兼ねなくニンニク味をいただけるわよ!


「こっちはシンプルに岩塩……うん、お肉がいい肉だからお塩だけでも美味しい、脂に甘みがあるわね」


 もぐもぐもぐもぐ。


 あとは……ショータがたまにやってるピーマンにつくねを挟んで食べるとかいうやつもやってみよう。


「あ、肉と肉が被ってしまったけど、どうでもいいわね!」


 うん、美味しいわ!

 ピーマンの程よい苦みと味わい深い軟骨入りつくねがいい感じ。


 ピューピュー!!


 火にかけていた翔太の持ちこみのヤカンがぴゅーぴゅー言い出したわね。


 忘れてた汁物を飲みましょう。

 お肉に気を取られ過ぎてたわ。


 汁物はお湯を入れるだけで完成するコーンスープでいいわよね。

 これもショータくれたやつ。


 はあ、お湯で半分溶かして、残り半分を温めたミルクにして、かき混ぜる。


 ……うーん、濃厚で美味しい。


 実は一人が少し寂しいから動画もまわしておいたわ。

 脚立にカメラをセットしてさ。


 たまに独り言を言う変な動画になってしまったけど、まあ、いいでしょ。


 そういえば男どもは今頃何を食べているのかしら?



 * * *


 〜( 主人公視点 )〜


 フェリにワンピースを届けに森に来た、翌朝。



「何か朝からいい匂いする〜」

「おはよう、カナタ。松茸をアルミホイルに包んで焼いたんだよ、いい香りだろう」

「松茸! わー! 高級食材!」

「松茸を割いて、生姜やすだち醤油で食べるきのこ祭りをやってしまおう」


 皆でテーブルについた。


「美味いな、生姜が効いてる」


 松茸の山を持つ人が一番美味い食べ方って言ってたからな。


「あ、すだち醤油でも松茸を食ってみよう」

「すだちの香りがいいね! 味も美味しい」

「ああ、山の恵みを感じるな」



「あとは茶碗蒸しも作った」


「こっちも松茸!?」

「いや、こちらはしいたけ」

「あはは、なんだ、でもしいたけでも美味しいはず」

「多分味ならしいたけのが美味いよ、香りが松茸で」

「あー、そう言うよね」



 さて、茶碗蒸しはスプーンでいいな。

 俺はスプーンを配って食べてみることにした。


「前にも食べたかもしれないけど茶碗蒸し。何度食べてもいいよな、美味しいものは」


 よく覚えてない。


「──ああ、これは滑らかで美味しいやつだな」

「うん、優しい味で美味しいよね」


 我ながら美味しくできた。


「デザートにはみかんな」


 皆で皮をむいでみかんを食べる。


「なるほど冬はやっぱりみかんだよね。まだ少し酸っぱいけど美味しいね」

「そうだな、これからもっと甘いのが出てくるはず」

「酸味と上品な甘さがあって爽やかだな。あ、ところでショータ、明日の予定は?」


 ジェラルドが明日の予定はと、水を向けて来た。


「ミレナが踊り覚えたっていうからあの衣装でリハーサルと撮影をしてみたいなって」

「いいね、でもそれどこでやるの?」


「場としてふさわしいのは神殿とかだけど、まだ本番じゃないし、ミレナもそこじゃ緊張するかもだし、例の劇団の舞台借りれるらしいからそこなら照明もあっていいかなって」



 劇場のスポンサーになってて良かった。

 舞台を休みの日に1時間だけ練習に借りられるんだ。



「すごい、劇場!」

「踊りなら俺は関係ないが練習でもフェリを連れて行ってやると神力的な力の恩恵があるかな?」

「ああ、全くないとも限らないよね」

「とりあえずボッチでお留守番よりいいかも」

「ワフ!」


 ミラが軽く人肌くらいに温めてくれた山羊のミルクを飲んでいたラッキーが急に反応した。


「おお、ラッキー、お前もそう思うか?」

「ワフ!」

「多分、肯定だと思います、マスター」

「ミラもそう思うか」



 そんじゃフェリも劇場に連れて行って神楽舞のリハでも見せてやるか。



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