第98話 祭りと紅葉見物

 柿狩りの後で秋祭りをやってる場所に来た。

 大きな川が近くに流れていて、紅葉に囲まれた景色が綺麗な場所でやってるから観光客もわりといそうだ。

 出店もいっぱい並んでて人通りも多くて賑わっている。



「収穫祭だ」

「なるほどね、収穫祭か、秋だしなぁ」


 どこでもお祭りの屋台のストリートフードってやつには惹かれるなぁ。

 食べ歩きってやつは楽しい。


 日本の屋台でよく見かけるチョコバナナとかを自分の店でも出してみようか。

 令嬢ってより子供向けだけど。


「あ、りんご飴ってこっちにもあるんだね」

「カナタも食べてみるか?」

「今は女装してないから……」

「男がりんご飴を食べてはいけない訳じゃないだろうに」


 カナタは今の状態だと恥ずかしいらしい。


「ねえ! あそこのお店! りんごとカボチャのパイがあるわよ!」


 ミレナが買って欲しそうにアピールしている。

 竹でルルエの小屋を増築してくれたし、買ってやるか。



「そっちのが腹には溜まりそうだな」


 カボチャとりんごのパイを三個ずつお買い上げした。



「冬に備えて燻製用の肉を買っておくのも悪くないぞ」


 ジェラルドが肉屋の前で足を止めて言った。


「あー、冬支度ってやつか」


 そしてミレナはすぐ近くの屋台で串焼き肉を自分で買って食べていた。

 今はもう昼の3時頃なので小腹が空いた頃だ。

 俺も買おう。


 ジューシーなお肉で美味しい。

 満足。



「あそこに川下りの船があるわよ!」

「ほほう、そいつは映えるかもしれんな」


 俺は思わずカメラで撮影した。


「ねー、せっかくだし、船に乗りましょうよ」


 ミレナが俺のシャツの裾を引っ張っておねだりしてきた。

 

「紅葉見ながらの船も風流だし、悪くないな。

じゃあ、ミレナとジェラルドを一緒にしたら喧嘩するから、俺とミレナ、ジェラルドとカナタの組み合わせで乗ってみるか?」


 細めのカヌーのような船で、あまり大きくはないから、四人まとめてはきつい感じだ。



「俺は構わないが」

「僕もいいよ、ジェラルドさんと一緒なら安心できるし」



 そんな訳でそれぞれペアに別れて船頭のいる川下りの船に乗ることにした。


 フェリをトートバッグごとカナタに預け、俺はミラとラッキーを連れて船に乗った。


 紅葉を眺めながら、秋の夕焼けの中をしばしの船遊び。

 夕陽のオレンジ色に染まった世界がとても美しい。


 リア充っぽくて凄い!!

 日本では地味に過ごしているのにな。

 最近はほぼ買物無双だったが、カナタとはそういや温泉にも行ったな、日本生活最後かもしれないからって。


 しばし平和に紅葉を撮影などしていた。

 だけど流石に秋の夕方だし、少し冷えて来たのでフード付き外套のフードを被った。

 首が温かいと寒さはわりと凌げる法則。



「ところで、紅葉見ながら入れるお風呂とかはないかなぁ?」

「この付近の宿ならあるかもしれないわよ」


「あ、お客さん、ありますよー、ほら、あそこの川沿いの宿なら紅葉を見ながら風呂に入れますよ!」


 船頭さん! ナイス!


「やった! 部屋が空いてるといいけどな」

「じゃあ、あのへんで降りるわ」


 ミレナが対岸を指差して船頭に指示した。


「はい、かしこまりました」



 俺は船から降りて宿に向かい、受け付けカウンターで部屋に空きがあるか訊いてみた。


「一番高い部屋で良ければに部屋ご用意できますよ、外の紅葉も見れてお得です」

「じゃあそれで!」



 宿の部屋はなんとか二部屋空いてた!

 紅葉の見える高い部屋だけ空いてた。

 セーフ!!


 俺は通信用のブレスレットを使い、ジェラルドとカナタに連絡をとった。

 後で宿にて合流する事になった。


 男三人で一部屋と女のミレナは一人であるが、ドールと一緒だ。

 

 今回は男三人一緒なあたり、修学旅行みたいでワクワクしてきた。

 流石に枕投げなどはしないけど。

 大人なので!


 あ、そうだ、お菓子を食べながら映画とか見たいな。

 やはり翻訳機能つきの道具を海神の帳面にお願いしようかな?

 地球の映画はジェラルドが言葉分からないと楽しめないだろうし。













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