第30話 どこだよ!

「オランダじゃん!」

悠里はスマホで調べて声を上げた。


「世界最大のテーマパークらしいよ」

和樹はからかうようにそう言った。


「なにを考えてんのよなにを!」

初お泊りデートでオランダいくやつがあるか!


「いや実はオランダへ行く用事があってさ」

和樹はさらりとすごい事を言った。


「そんなわけあるか!」

どこの教育委員会の研修でオランダなんかいくか!


「いやほんとだよホント」

和樹は困りながらも笑いながら説明し始めた。


「オランダに、その、僕の一族の人が居てさ」

さすがに悠里に孫とは言えない和樹であった。


「へえそうなんだへー」

悠里は半目で言った。全く信じている風ではない。


「その人と、その、話し合いというかね」

孫に説教しに行くとも言えない。


「オランダ語はなせるなら電話でいいじゃん」

悠里はまことに正しい事を言った。


「うーん、まあそうなんだけどね」

多分それじゃ済まないんだよねえ。


「まあ一緒に行こうよ」

ものすごく雑に海外旅行に誘う和樹であった。


「私、お母さんと一緒に住んでるんですけど」

お泊りデートだってギリッギリの話なのだ。


「まあそれはなんとかするから」

和樹は困ったようなにへら笑いでそう言った。

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