第9話 おたがいの好み
「なるほど、辻褄は合いそうだね」
悠里の想像を兵藤はそう評価した。
「ちがうの?」
悠里は予想が外れたらしいと察した。
「二人は同じ人じゃないよ」
今日の兵藤の昼食は昨日の反省からからサンドウィッチである。
「ヤることヤってんだね」
悠里はやや皮肉げにそう言った。
「まあ長く生きてればね」
偉っそうに。
「で、今は彼女なしと」
悠里は総括するように言った。
「そうだね」
兵藤は気にもしない感じでそう言った。
「……センセってどんな人がタイプ?」
何となく聞いてみた。
「タイプってのはないかなあ」
兵藤は朴訥とした事を言った。
「合うか合わないかじゃない?」
そりゃそうだけどさ。
「加藤さんの好みは?」
逆に兵藤が訊いてきた。
「うーん」
訊かれると回答に困る質問だな、と悠里は思った。
「……疲れない人かなあ」
夜遊びしてた頃に一時期付き合った男を思い出してそう言った。
「つまり僕か」
兵藤はこれまたあっさり言った。
「ああ、そうかもね」
悠里は微苦笑しながらそう応じた。後で真っ赤になった。
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