幕間sideメルティーナ
「ほらっ、もっとシャキシャキ動かないと洗い物も溜まる一方だよ!!!」
「…はい」
「─ったく、ホント、トロいというか拙いんだから…」
プチッ…
「今までどんな生活してきたんだろうね、全く…」
プチップチップチッ…
「こっちはみすぼらしい格好してるのに雇ってやったというのに…」
プチップチッ…プツン!
「何だってこの糞ばばあ!こっちが下手に出ていたら舐めた口ききやがって!」
「なぁにぃぃぃー!雇い主に対して何て態度なんだい!」
「こんな糞みてぇな所で働いてやってるというのに、人間の分際でよくも女神の私に!」
「あんたのどこが女神様だっていうんだい!女神様を語るんじゃないよ!もういいわ!首よ首!」
「おー!上等だよ!首でも何でもしろってんだ!その代わりこの時間迄働いた金はもらうからね!」
「ふざけるんじゃないよ!まかないとかこつけてあんだけ沢山食べやがって!こっちが払ってもらいたいくらいさ!」
「なにを~!」
「忙しい時にそもそも邪魔だよ!出ていきな!出て行かないなら役人を呼んできてやるから!」
******
「…やっちまったよぉー」
『先輩…いい加減にしてもらえます?』
「あの糞ばばあが…」
『ようやく考えを改めて頑張ってるかと思えば…はぁ~~~…何回目ですか…首になったのは…』
「2……3回…かな?」
『五回目ですよ!』
「テヘペロッ!」
バチバチバチバチバチバチ!
「ちょっ!?ちょっと待って!?お茶目を前面に出しただけだから!?雷なんか出さないでよ!死んじゃうわよ、私がっ!!!」
『…もう世界の為にも天界の為にも死んだ方が良いのでは?』
「そ、それはあんまりにも…」
『…もうこの町では先輩を雇ってくれる所なんてありませんよ?』
「また…次の町に行くわ…」
『先輩…次の町に行っても安易な考えでは到底働く事もまして、生きて行くことすらままなりませんよ?』
「…分かってる…わよ」
それ位分かってる…つもり。でも、今まで好き勝手にしてた分我慢がきかない…。腹立つ事があればすぐに頭に血がのぼってしまい、気付いた時には喧嘩になっている…。今まで全てそれで職を失っている…。
『先輩…言うべきか迷ったのですが言っておきます』
「まだ…私に追い討ちをかけたいの?」
『ゼウス様から言われました』
「…何を?」
『…これ以上変われないのなら彼に対しても相応しくないし申し訳ない…。最早…助ける事もならん…と』
「…そう」
ゼウス様がその様な事を…。
『先輩…どうか…』
「あなたは天界に帰りなさい…」
『でも…』
「…いいから」
『はい…』
人間は本当に大変なのね…。生きるというだけで…働いて金を稼がないと食べる事さえ寝る事さえままならないなんて…
「……ううっ…ぐすっ………"う"ぇ"ぇ"…」
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