第56話 暴走
爆破2日前―――
市民による警察への攻撃が激化する中、アジトではBが黙って相変わらずノートパソコンに打鍵していた。そこへAがくわえタバコで何かを持ってリビングにやってきた。
「じゃーん。見ろ、すごいだろ」
「わー!ドローンじゃん」
それは大きめのドローンのようなものだった。
「リモコンもあるぞ」
リモコンには映像が映されている。
「これで出来るだけ上空に飛ぶんだ。で、ボーン!」
「すごいねぇ!」
「さぁ腹減った。今日ほ何かな」
「今夜は麻婆豆腐、回鍋肉、シーザーサラダ、杏仁豆腐だよ」
「中華か!いいな」
そろそろ食べ終わる頃になって、AはぽつりとBに言った。
「勉だ」
「え?」
「俺の名前は中川勉だ」
「どうしたの急に」
「いや、最後に何か言っておきたくてな。気にするな。呼び名はそのままAでいい」
「A…」
「さぁ、今日はゆっくり休むとしよう」
Aの言葉通り、Aはベッドで、Bはリビングのソファで早めに就寝した。
――――
爆破日前日―――
夜明け前、アジトに潜入する複数の足音なき足音があった。誰かの合図で銃から赤いレーザーが多数現れる。リビングに到着する。静かで自分たち以外の物音一つ無い。
テーブルに空の瓶で重しにした紙が一枚置いてある。自衛隊員の一人がライトを取り出し、紙を見る。そこにはこう書いてあった。
「bye-bye」
「本部へ!犯人に逃げられました!アジトには居ません!繰り返す…」
――――
AとBはBの運転するバイクに乗って千代田区の東京駅に向かっていた。
「東京駅のロッカーに特殊包装したプルトニウムが入ってる。それをまず取りに行くぞ!」
Bはバイクの速度を上げた。
――――
「もうアジトにはいない?もう!」
冴島は悔しそうにケータイを体に打ち付けた。
「犯人はどこにいったと思う?」
冴島は松島に懇願する体で訪ねた。
「おそらくもう爆破準備を始めていることでしょう。ですから行き先は千代田区内…」
冴島はケータイで叫んだ。
「千代田区内の警備を強化しなさい!」
――――
Bがバイクを走らせていると、警察の検問が遠くに赤い輝きを見せていた。
「A!検問だ!どうする?」
「突進しろ!倒れるなよ!」
そのまま2人を乗せたバイクはスピードを上げ続け、検問を毛散らかした。
「犯人が検問を突破!検問を突破!」
「いやふぅ〜!!」
バイクは怒涛の勢いで東京駅目指して進んだ。
――――
「この場所の検問は…」
冴島は続きを言うでもなく、唸った。
「北綾瀬方面から、ここの検問を破ったってことは…おそらくは東京駅方面ですねぇ!」
松島は興奮気味に言い放った。
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