第49話 逃走
バイクで逃亡したAとBは、Aの指示通り足立区近辺へ向けて走らせた。小さなホテルにたどり着いた2人はチェックインした。
部屋に入ったAは、Bの事をあらゆる角度から眺めた。
「もう発信機は無いようだな」
「はぁ〜疲れた〜」
Bは備え付けのベッドに身を沈めた。Aはタバコに火を付けている。
「今度は足立区内にアジトを見つけよう」
そう言いながらタバコをくゆらせ、あせりを抑えた。
「ねぇA…僕たち追い詰められてきてない?」
「ばか言うな。そんな事はない」
間を置いてAがタバコの煙を吐き出しながら、言った。
「しかし警察のやり口が狡猾になってきているのは確かだ。自衛隊も動いているしな」
「そうだよ、すこし休んだほうがいいんじゃないの」
「どの道少し時間のかかる作業になるから、ゆっくりやるさ。Bは寝ろ」
Aは新しいタバコに火を付けた。
そう言われると急激にBは瞼が重くなる。ほどなく寝息が聞こえてきた。
――――
渋谷の旧アジトに自衛隊と冴島、松島が捜索を続けていた。
「あれだけ自衛隊員がいて、逃がすとはどういう事!?」
冴島は怒りを隠そうともしていなかった。
「まぁまぁ。何か役立つ物が落ちてるかもしれませんよ」
松島はリビングを品定めするようにゆっくりと見て回った。と、ノートパソコンを発見し手に取る。
「トパーズのかな?」
起動してみると、パスワード入力画面が出てきた。
「自衛隊サイバー班行きかな」
「爆破犯の作業部屋みたいな所には、なにかいいものないの?」
冴島は自衛官に問いただす。
「今のところは何も…」
「全く!」
松島は冷静に言った。
「まぁ都内にはいるでしょうから、引き続き捜索を続けましょう。動画が来るかもしれませんし」
――――
翌朝ホテルをチェックアウトした2人は、北綾瀬徒歩1分の中古立て一軒家を4800万で購入し、ネットカフェで欲しいものを色々購入した。Bはノートパソコンも失っていたので、新品のノートパソコンも買う羽目になった。ポケットwifiも買う。Aはコナのコーヒー豆などを買っていた。電気水道ガスが明日開通なので、結局ホテルでもう一泊する。のでどうせならと、夕食はステーキ店で過ごした。
「ステーキは毎日でもいいね!」
「ああ」
しばらくステーキに集中していたが、ぽつりとAが呟いた。
「最後にするわ」
「えっ何が?」
「爆破はこれで最後にしようと思うんだ」
「そうなの!?」
「ああ。だから最後まで付き合ってくれるか」
「もちろん!」
ステーキ店で過ごした2人は、そのままホテルの部屋に戻り早くに就寝した。
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