会いたいパンダとキイロイトリ

chiepin☆彡.。

会いに行こう

キイロイトリさんとパンダは

いつも一緒に遊んでいました。

明けても暮れても飽きることなく。


そんなある日

キイロイトリさんは

お引っ越しすることになりました。

「また一緒に遊ぼうね。 約束だよ。」

そんな約束から月日は流れ…


「どうしてるかなぁ?元気かなぁ?」

パンダのお家から遠く

離れたところに住む

キイロイトリさんに

会いたくなったパンダは

会いに行くことにしました。


「栗のケーキと、可愛いお花を持っていこう」

パンダは栗を拾いに山へ行きました。

色付いた山のあちらこちらをまわり

かごいっぱいの栗を拾いました。

栗をお水に漬けて

丁寧に丁寧に

一生懸命皮を剥きました。


バターとお砂糖を混ぜ混ぜ

卵黄も入れてもっともっと

混ぜ混ぜして

卵白とお砂糖をシャカシャカ

しっかり泡立てました

振るった小麦粉を入れて

型に流し入れて

剥いた栗を綺麗に並べました。

良い香りがするまで

オーブンで焼きました。


「わぁ、おいしそうに焼けた。

これならキイロイトリさんも

喜んでくれるかな♡」

パンダはにっこりして言いました。


今度は可愛いお花を摘みに行きました。

珍しいお花が咲く

川の所までやって来ました。

「あれれ? お花どこかな?」

辺りを見まわして見たけれど

どこにもお花はありません。

もう少し川を上ってみました。

もう少しもう少しと上って行きます。

「あ! あったぁ」

パンダは手を伸ばしピンク色の

小さな可愛いお花を摘みました。

摘んだお花を集め

小さなブーケにしました。

これならきっとキイロイトリさんも

喜んでくれる。

パンダはもっともっと

キイロイトリさんに会いたくなりました。


お家に着くと

赤いリュックに栗のケーキと

ピンク色の可愛いお花のブーケを

大切にそっと入れました。

キイロイトリさんに会いに行こう。


赤いリュックを背負って

元気よくパンダはお家を出ました。


キイロイトリさんに

早く会いたくて

キイロイトリさんに

早く栗のケーキを食べてほしくて

キイロイトリさんに

早くお花を見てほしくて

少し急ぎ足で

ドキドキワクワクする気持ちを

抑えて歩きます。

いっぱい

いっぱい

歩いて行きました。


「確かこの辺りだったんだけど…」

キイロイトリさんのお家が見当たりません。

困ってしまったパンダは

少し休憩することにしました。

木の切り株に座ったパンダに

子どものネズミが話しかけました。

「パンダさん、こんにちわ。

どこから来たの?」

キラキラ、くりくりっとした目で

見上げる子どものネズミに

パンダは微笑みながら答えました。


「2つ向こうの山からだよ。

この辺りにキイロイトリさんの

お家があったはずなんだけど

知らないかなぁ?」


「知ってる知ってる

母さんに聞いたら

どこにいるか知ってるよ。」

 

パンダはネズミのお母さんのところへ

案内してもらうことにしました。


ネズミのお母さんはケガをして

ベットで寝ていました。

「ネズミのお母さんこんにちは。

大丈夫ですか?

なにかお手伝い出来ることは

ありますか?

キイロイトリさんがどこにいるか

知っていたら教えてください。」

パンダは優しく

 ネズミのお母さんに聞きました。

「子ども達に食べさせる物が

無くて困っています。

なにか食べる物があったら助かります。

キイロイトリさんは

もう1つ向こうの山へ引っ越しましたよ。」

弱々しい声で

ネズミのお母さんは教えてくれました。

「ありがとうございます。

栗のケーキしかありませんが

よろしければ置いて行きます。」

パンダはそう言って赤いリュックから

そっと栗のケーキを出しました。

栗のケーキを見た

子どものネズミたちは大喜びです。

益々キラキラ、くりくりっとした

目を輝かせました。

「それはキイロイトリさんへの

お土産なのではありませんか?

大切なケーキなのに。

ありがとうございます。」

パンダはナイフを借りて

栗のケーキを切り分けました。

子どものネズミたちの分

お母さんネズミの分

キイロイトリさんの分

きっとキイロイトリさんも

わかってくれる。

ひと切れだけまた赤いリュックに

そっと大切に入れました。


お母さんネズミと子どものネズミは

パンダにお礼を言いました。

「元気になったら

子どもたちとお礼にうかがいます。

キイロイトリさんに

早く会えますように。お気を付けて。」


パンダはキイロイトリさんに

会うためまた歩きます。

汗を拭きながら山を登って行きました。

早く会いたい

早く会いたい


山の頂上まで来ると

ウサギの女の子が泣いていました。

パンダは優しく声をかけました。

「どうしたの?

なにか困っているのかなぁ?」

ウサギの女の子は

赤い目を擦りながら答えました。

「今日はお友達のお誕生日なの。

でもプレゼントしたいお花が

見つからなくて困っているの。」

パンダは赤いリュックから

ピンク色の可愛いお花のブーケを

そっと出しました。

「このお花をお友達に

プレゼントしてあげて。」

泣いていたウサギの女の子は

ピンク色の可愛いお花を見て

「わぁ♡」っと声を上げました。

とても嬉しそうな顔に

パンダも嬉しくなりました。

「パンダさん、このお花を

もらってしまって大丈夫? 」

心配そうにウサギの女の子は聞きました。

「一輪だけ、抜いてもいいかなぁ?

キイロイトリさんに持っていきたいの。」

パンダはウサギの女の子に

優しく言いました。

「うんうん。

キイロイトリさんのお家は

この先、すぐそこだよ。

パンダさんありがとう。」

ウサギの女の子は

ピンク色の可愛いお花のブーケを抱えて

笑顔でパンダにお礼を言いました。

そしてぴょんぴょん跳ねて

パンダが来た道を戻って行きました。



キイロイトリさんのお家は

もうすぐそこ。

会える、会える。

やっと会える。



大きな木の横には

キイロイトリと書かれた

お家がありました。

パンダはやっと

キイロイトリさんのお家に着きました。

ドキドキしながらドアを叩きました。


コンコンコン、コンコンコン


ドアが開きました。


いつもと変わらない

キイロイトリさんが

驚いた顔でパンダを見つめます。

「パンダさん!

会いに来てくれたの?

ほんとにパンダさん?」

夢をみているような再会。

「キイロイトリさん!やっと会えたぁ♡」

2人は抱き合って喜びました。


「お家の中へどうぞ。」

キイロイトリさんはパンダを

お家の中へ入れました。


パンダはキイロイトリさんのお家へ

辿り着くまでのお話をしました。


栗のケーキを作るお話。

ピンク色の可愛いお花のお話。

ネズミの親子のお話。

ウサギの女の子のお話。

どれだけキイロイトリさんに

会いたかったか…


そして赤いリュックから

大事そうにそっと

ひと切れの栗のケーキと

一輪だけのピンク色の可愛いお花を

出しました。

「少なくなっちゃったけど…

キイロイトリさんへ♡」

パンダは申し訳なさそうに言いました。


頷きながら愛おしそうに

パンダのお話を聞いていた

キイロイトリさんが言いました。

「パンダさん、ありがとう。

ここへ来るまで大変だったね。

でもネズミの親子もウサギの女の子も

パンダさんの優しさに感謝してるね。

わたしもとっても感謝してるよ。

わたしの為に作ってくれた

栗のケーキもピンク色の可愛いお花も

本当に嬉しい。本当にありがとう。

何回ありがとうって言っても

足りないくらいだよ。

1番嬉しいのはこうして

会いに来てくれたことだよ。」

キイロイトリさんは嬉しい気持ちを

何とか言葉にしてパンダに伝えました。

パンダもキイロイトリさんの言葉が

とても嬉しくて嬉しくて。

キイロイトリさんに

会いに行こうと決めたこと

栗のケーキを作ったこと

ピンクの可愛いお花を摘みに行ったこと

ネズミの親子、ウサギの女の子に

出会えたこと

全部良かったと思いました。

全てをキイロイトリさんが

喜んでくれたから。


「栗のケーキ半分こしよう。」

「えっ?いいの?」

小さなケーキを2人で食べました。

甘くて 幸せなおいしい味でした。



しばらくキイロイトリさんのお家からは

2人の話し声、笑い声が

絶えることなく聞こえていました。


空には満天の星が瞬いていました☆彡.。



















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会いたいパンダとキイロイトリ chiepin☆彡.。 @chiepin

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